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博士のお仕事日記

博士のお仕事日記 ~つれづれなるターゲブーフ~


逆転合格した人は他にも沢山います

明日ようやく東洋経済オンラインの原稿が公開になります。東洋経済の私の編集担当者が管理職で大変忙しい方になり、原稿公開に時間がかかりました。本日の早朝5時にプレビュ―を頂戴しましたが、お体大丈夫でしょうか。猛烈に、お忙しそうです。

明日公開の原稿は、タイトルが⇒

医学部入試の面接で起きた「逆転合格」です。

登場するM君は、2次試験にMMIを導入する東京慈恵会医科大学のほか国立後期医学部、2次試験が難しい順天堂大学医学部、東邦大学医学部にも合格しました。ただ慈恵の1次試験は1番苦労されたようです。2次試験では一転感触が良く逆転合格を確信されたとのことでした。私には不思議に思えましたが、やはり学費を考慮されたのでしょうか、慈恵には進学されませんでした。

ところで、逆転合格といえば、今年はお話ししたい方が目白押しですが、皆、浪人年数が長く、この原稿に登場されるのを躊躇されました。残念です。この方々の武勇伝は機会を見てお話しします。


スポーツと正当行為

日大アメフト部の問題は悲しい事件であり、難しい事件です。私は、「大コンメンタール刑法」の35条の責任執筆者ですから、正当業務行為の専門家であり、どこかでこの問題は書くべきなのでしょうね。

「スポーツと傷害罪の判断における社会的相当性の変容」というテーマか、「スポーツ選手とコーチ、監督の間に共謀共同正犯が成立する要件と共犯の過剰の問題」です。報道に出てきた「潰せ」という意味はコーチ(あるいは監督の場合)はどういう認識であったのかが解明されねばなりません。単にルールの範囲内の行為を想定しているのか、それとも暴行なのか、傷害せよという意味なのか、難しい問題です。コーチ、監督の認識がスポーツのルールの範囲内にとどまるのか、それともその範囲を超えるものなのか、ということですね。記者会見でコーチも監督も超えるという部分は否定されていたようですが、これから捜査の過程で様々明らかになるのでしょう。状況を注視していきたいと思います。

今回の事件で思ったこと、それは、スポーツで生じる激しい行為が、違法性阻却される社会的相当性の概念が、時代とともに変わりつつあるということです。
今日は難しい話になりました。


最後の合格報告

今日、指導していた生徒が防衛医科大学に合格した知らせと、別の女子学生が杏林大学医学部に合格した知らせを受けました。ギリギリまで合格するものですね。これで今年の合格報告も恐らくおしまいです。振り返ると、指導した生徒で合格の知らせを受けなかったのは、ほんの数名で、ほぼ合格を勝ち取りました。ただ、これだけは言えます。皆、出来る生徒で、私が指導しなくとも自動的に合格したということです。

おめでとうございます。それにしても、最後の合格報告というのは、なんだか寂しいものですね。


西新宿の奇跡だと思います

相当長く浪人を重ねた受験生が、中部地方の大学医学部医学科の後期試験に合格しました。たまたま、予備校でテキスト作成などをしていましたところ、ご両親とその息子さんが来られ、喜びを分かち合い、「先生と一緒に写真を」といわれ、記念撮影をいたしました。

倍率から考えるとこれは奇跡に近いです。何度も指導した生徒であり、合格を信じていましたが、浪人年数が長いので、そこが大きな関門かと考えていました。合格をあきらめてはいけないという良いサンプルです。

合格してくれてありがとうございます。


医学部入試生物に異変

今年の医学部入試を概観していて気になることは医学部に出題されている生物の入試問題が、かなり難易度が低下しているということです。問題用紙を持ち帰れる大学のものしか見ていないので何とも言えませんが、その中で従来通りの出題難度と感じたのは、慈恵医大と日本医科大(前期)ぐらいです。

詳細は述べられませんが、関西系の中堅医学部の問題にやや取り組みにくいものがある点も特筆すべきことです。1番大きく変化したのは昭和大学医学部で、Ⅰ期Ⅱ期ともに難易度がかなり低下しました。昭和大学に関しては、私の生物の授業でかなり予想をしており今回も、ある根拠をもとに予想を立てていましたが、今年は完全に肩透かしを食わされてしまいました。医学部特殊問題研究と題し直前に7問ほど受講生に配布しましたが、

予想したような難問は1題も出題されず、左心室の圧容積曲線など手あかのついた問題が出題されました。これは、2015年5月21日に東洋経済オンラインに私が解説した問題であり、まさかという感じです。

※ 昨日今日と、西新宿の予備校の事務の方から教え子の合格報告が追加でありました。順天堂大学医学部1名,日本医科大学後期1名、山梨大学医学部2名です。山梨大学医学部の合格者に関しては、私の基礎医学概論に1年を通じほぼ全て出席しており、嬉しい限りです。これから皆、様々な道を歩まれるわけですが、良医を目指して精進ください。


「桜咲く」も、そろそろ終盤

指導している西新宿の予備校の事務担当者から、夕方連絡をもらいました。嬉しい話でした。1月から3月にかけて何度も指導した生徒4名が本日合格したとの報告です。内訳は日本医科大学後期1名(この大学については指導した生徒の合格は計3名になりました)、近畿大学後期2名、産業医科大学1名です。

印象に残るのは近畿大学の合格者I君です。明日、大阪に行くという前日になんとか時間を取り集中指導しました。おとなしく朴訥な方でそれまで2次試験は連敗しており、心配していましたが、合格しました。まだまだ繰り上がる方はいるでしょう。あと、5名ほど連絡待ちの方がいます。ものすごく心配です。ただ、そろそろ最終局面ですね。3月ももう終わりです。春はもう来ているのか、あるいはすぐそこに来ているはずです。だからこそものすごく心配です。教え子の動向としては、20日から22日が注目日です。国立後期の発表があります。さてどうなりますか。


武井壮さんのコメントに絶句

東洋経済オンラインに久々に原稿を寄稿しましたところ、思わぬ反響があり、昨日は、最近の話題ランキングの3位として、東京MXテレビのバラいろダンディという番組で私の記事が紹介されました。「別れの手紙を書かせると医師の資質がわかる」という記事ですが、出演していた武井壮さんは、一言「探さないでください」と書かれるのだそうです。600字には全然足りませんね。スタジオは大爆笑でした。当日のテレビ画面は、「誰でも受かる医学部入試の極意」に紹介されていますので、興味のある方はご覧ください。

医学部入試の合格発表が続いていますが、ここのところ奇跡とも思える合格が続いています(失礼)。正直難しいだろうと思われた方の合格です。先日も東京医大に合格された教え子から直に電話を頂戴しました。数多く集中特訓しているにもかかわらず結果が出なかった方もついに東北医科薬科大医学部に正規合格しました。でも1番の驚きは本日です。大逆転で、指導した現役生が弘前大学医学部に合格したと、電話を頂戴しました。この話はすごい驚きです。2年続いての逆転合格ですね。さて本命の明日はどういう合格者がどれだけ出ますことか。

京大医学部受験の朝

今日、知り合いから面白い話を聞きました。今年の2月末日、その方の息子さんが京大を受験した日のことです。京大の受験会場に向かう途中、電車の中で3人の医学部受験生に遭遇しました。3人は何やら医学談義をしていました。驚いたのは医学用語を口にする3人が読んでいた本です。

なんと彼らは私の書いた「医学部の面接」を読みながら、論評していたというのです。3人も一緒に京大医学部を受験するというのですから、おそらく相当なレベルの進学校の生徒さんなのでしょう。もう一つ、これは良いのか悪いのか。西新宿の医学部受験予備校の教え子が、東邦大学医学部の受験会場に行った時のことです。2次試験待ちの多くの受験生がやはり私の面接の本を熱心に読んでいたというのです。本の大きさとページの色使いでわかったそうです。著者としては嬉しいですが、これは良いことなのか悪いことなのか。いずれにせよ書き手としてますます精進せねばならないことだけは事実です。

追伸。本日公開の東洋経済オンライン「別れの手紙を書かせるとわかる医師の資質」は多くの受験生、教育関係者、医師の皆様にお読みいただいているようです。有難いことです。心より感謝致します。

午前8時から日本医科大学2次試験対策

明日は日本医科大学の2次試験対策です。早朝午前8時からとかなり早いですが、対策用に集団面接のテーマを沢山作りました。多くの受験生が参加されることを期待します。午後は、飯田橋に移動し、福岡大学医学部の生物対策などが夜まで続きます。

木曜日は、早朝、飯田橋で帝京大学医学部2次対策を1名こなした後、別所に移動し、帝京大学医学部2次対策です。こちらの予定は1次合格者5名です。昨日は愛知医科大学の1次合格者が発表になりましたが、いくつもの医学部1次試験を通過した実力者が不合格でした。難しいのですね。

まだ1次合格が出ていない方々は、あきらめずに精進ください。あきらめたらすべてが水の泡です。苦しい状況だと思いますが、どうか研鑽ください。



冬来たりなば、春遠からじ

1月26日は飯田橋で帝京大学医学部受験生に、生物を指導し、その後西新宿の予備校に指導に向かいました。ガラス越しに事務局を覗くと、先日杏林大学医学部の指導をした2名がおられて、顔に「合格」と書いてありましたが、到着するなり合格報告を受けました。1人は難度の高い東京都枠の合格者、もう1人は一般枠の正規合格者でした。2人ともそれなりに長い浪人生活を続けて来られ、大変だったと思います。しかし、「冬来たりなば春遠からじ」(パーシー·シェリー)なのですね。2人には、少し早めの春が訪れました。
昨晩はよく眠れたことでしょう。

ところで、最近、邂逅という言葉を強く意識します。26日と27日の2日間にわたり、順天堂大学医学部2次対策を4名の1次合格者の方に指導しましたが、その中に、私の次女の小学校時代の1年先輩がおられたからです。不思議なご縁です。実は他に次女の1年先輩、4年先輩も身近におられます。なんとか合格してほしいものです。ここからは、現在指導している受験生の合格を祈る日々が続きます。月曜日、火曜日あたりが天王山でしょうか。

明日は神社に祈りに行きます。やるだけのことはやっているので、あとは神頼みしか道は残されていません。このセリフ、なんだかロべスピエールの演説みたいですね。


寒さと共に、登板機会が急増中です。

火曜日から、医学部2次対策の講義が目白押しです。この傾向は年々高まっており、1月末から2月中旬までは猛烈な日々です。22日月曜日は雪ですので、午後は休止しましたが、23日は15時から23時まで、集中講義です。対象者は国際医療福祉、杏林です。ここから連日2次対策の日々が続きます。

合格者が続々出ており、対応の時間が不足気味です。でも時間を調整し、なんとか皆が正規合格できるように指導します。明日から合格発表が続きますので、トータルでどういう数字になるのか。楽しみです。Shugoshinはコヒーシンを守りますが、私(Shugoshin)は受験生を守ります。このタンパク質は生物の試験に出るかもしれませんね。



音の本棚の時代

本日、PHP研究所から印税の明細が届きました。驚きました。新書の印税というと、ここのところ電子ブックのものが多く、数十冊しか売れていないことが多かったからです。

作家にもよりますが、電子ブックは売れません。売れるというのはある意味誤解です。確かに手軽という点では、紙媒体よりも電子媒体のほうが売れると考えられないこともないでしょう。しかし、それは逆で、まだまだ紙の人気は根強いです。

ところが、今回は、数百売れているものがありました。オトバンクFeBeから発行された「勉強しろと言わずに子供を勉強させる法」です。音の本棚ですね。読むのではなく電車の中で聴いてくださる方がおられたのでしょうか。有難うございます。時代が大きく変わりつつあることを実感しました。


医学部推薦入試に人気が集中

いよいよ10月も終わろうとしています。11月に入ると医学部の推薦入試が目白押しです。その影響もあるのでしょうか。推薦入試対策の依頼が急激に増えています。

現状、日曜日は来春発行の本格的な思考力、記述力の参考書を執筆する日として空けておいたのですが、かなり浸食されてしまいました。今日も推薦入試対策だけで朝の7時から10時間講義です。ただ、岡山、富山からわざわざ来られる方もおられ、断り切れないのが実状です。

産業医大、東京医大、金沢医大の志望者からも追加で指導の依頼が来ています。本を書きながら十分に指導ができればいいのですが、体は一つです。一体どうしたものか。いずれにせよ、11月の上旬までには本のほうは何とか形にしなければなりません。2020年を意識した思考力、論述力重視の参考書なので、早期の出版が求められています。


体温と熱意の関係⁈

今朝はやや肌寒い感じでしたが、私はいつもの通り半袖のポロシャツで仕事に出かけました。電車の中は暑いのでちょうどころあいが良い感じです。ただ、知人には「半袖で歩いているのは先生と新橋のオーストラリア人だけだよ」と笑われました。昨日、テレビで新橋駅前の映像が映り、半袖の外人さんが取材を受けていたそうです。私もいずれ取材を受けそうですね。

日曜日も小会議室のような部屋で、少々お話をする機会がありましたが、冷房がかけられていないため暑くて暑くて汗だくでした。そのような調子ですから、私の講義の受講生は大変です。今も冷房を入れて講義しますので、皆、コートやら、ジャンパーを着こんで出席してくれています。膝には毛布。そろそろ暖房に切り替えますので、もうしばらくお待ちください。よろしくお願いします

理論的な文章。西丸興一(よいち)さんに続け。

そうちゃんの日記は、理論的で面白いですね。有難うございました。昭和大医学部の安楽死の問題、懐かしいですね。勉強しましたね。

そうちゃんは当日、医学の目的から、オレゴン州の尊厳死法に疑問を投げかけたわけですか。それは教授も初耳です。教授もビックリしたことでしょう。現在はチュ―ターとして予備校に来られているそうですが、有難うございます。

受験生の悩みが多くなるこの時期に後輩たちを力強く支えてあげてください。アドバイスが理論的だから、頼りになります。大先輩である西丸さんにも負けない文章を、将来書いてください。

たっちゃんの医学部受験生活日記を読み終えて

今日は、たっちゃんの受験日記が最終回です。これまでお読みくださった皆さん、有難うございます。たっちゃんについては、いろいろ思うことがあります
まず、5浪で日大の医学部に合格したたっちゃんの努力に敬意を表します。すさまじいエネルギー、そして執念です。何が、彼をここまで医学部に固執させたのか。考えさせられます。おそらく、彼の心に継承される「医の心」、使命感のようなものなのでしょうね。真相は今度聞いてみます。苦労人であるたっちゃんは人の痛みがわかるのでしょう。日記の末尾に述べられた1文は心にしみますね。それはそうと、たっちゃんが辞退した入学の権利1枠は、人生をあきらめかけていた受験生の手元に届いたのでしょうか。「医の心」のリレーであれば素晴らしいですね。

次回からは、高校球児そうちゃんの医学部受験生活日記が始まります。たっちゃんの人生とはまた違う世界観が広がります。お楽しみに。

シアノバクテリアは光合成細菌ではない!?

今日、困ったことがありました。私の教え子が、「シアノバクテリアは光合成細菌だと友人から言われた」と言うのです。先生の先日の説明は正しいですか、と。これには困りました。少々微妙ではありますし、不正確な数研出版の図録などにはそのような記述もありますので、それを信じればそうなってしまいます。しかし現在は、シアノバクテリアは「酸素発生型の光合成を行う原核生物」ではありますが、「酸素発生型の光合成細菌」という位置づけにはなりません。
確認の意味でいくつかあたってみましたが、ある事典には、光合成細菌とは、酸素を発生しない光合成生物の便宜的総称であり、紅色イオウ細菌・緑色イオウ細菌・緑色非イオウ細菌・ヘリオ細菌などの全く異なる系統分類群を含んでいるが、「伝統的にはシアノバクテリアを含まないことになっている」と、ありました。また、シアノバクテリアの定義について、ある専門書には、クロロフィルaとフィコビリン色素を有する「酸素発生型の原核光合成生物」であると記されていました。真正細菌・光合成細菌とは酸素発生型の光合成を行う点で区別されているとも。さらに系統上も異なると付記がされていました。系統上の問題は強い証左となりますね。入試で問われかねませんので、皆さんご注意を。

休みが取れなくなりました

世の中は帰省ラッシュとか、Uターンラッシュとか騒がしいですね。でも、私には無関係な世界の話のようです。今年は例年になく忙しく、春からほとんど休まず働いています。とにかく休みが取れません。様々な依頼の中、取捨選択してお仕事をさせていただいているという感じです。その中で、1番時間をとるのはやはり執筆です。現在、自然科学と論理学の融合を目指した珍しい本を書いており、頭を酷使しています。教えるほうも多忙です。明日は、朝4時半に起き、新宿で早朝6時から4時間指導です。その後、飯田橋に移動し、7時間半指導になります。なかなかのスケジュールですね。まあ慣れていますから、講義は苦になりません。

ところで、先日サイトの冒頭でご案内いたしましたが、8月26日は午前11時から飯田橋で講演会があります。医学部2次試験に関して推薦入試、AO入試を中心にお話します。また、多くの受験生が気にしているMMIについて、慈恵医大、東邦大医学部を意識したミニ講義も致します。これは推薦、AO入試にも役立ちますね。聞けば、今後の学習の指針になります。多くの方々の参加をお待ちしております。ご父母様だけの参加も歓迎いたします。

講演会の問い合わせは0120-59-1427です。



医学部医学科の4年生のレポートに触れて

先日講義をいたしました医学部医学科の4年生が書かれたレポートが医科大学から
自宅に送付されてきました。講義の取りまとめをされている先生から送られてきたものです。大方目を通しましたが、学生たちは難しい刑法、医事法の理論を短時間によく理解され、また分析されておられ感心しました。皆、優がつけばよいのですがそうもいかないようです。できれば講義中にお話しした「noblesse oblige」と医師の診療義務との関係性についてどなたかに書いていただきたかったのですが、今回は提出されていませんでした。法と倫理の問題ですので難しい議論です。ですので、ひとまず私が、近日中に論文を書きたいと思います。現在、「刑事裁判における治療目的の意義」なる論文も書いており、折を見て発表したいと考えています。

季節外れの合格報告

先日驚くことがありました。西新宿の医学部予備校の事務担当の方から、「今年の1月に先生が集中特訓をされた受験生が、今日、突然現れ、自治医科大学に合格していました」というのです。

これは寝耳に水でした。正直この学生に関しては、この数か月、心に引っかかるものがありました。志望書はもちろん、総合診療や地域医療、NBMに関して相当力を入れて指導したからです。ただ、受験された県が日本でも1,2位を争う激戦の県でしたので、その中で合格者が2名となると、やはり私の力も及ばなかったかと、正直失望しておりました。

季節外れの遅れてきた合格報告ですが、嬉しいです。ただ、1番嬉しいのは彼が医師となり、僻地で患者の生命の保護と健康の増進に寄与してくださることです。


本当に

今日は、親御さん向けのお話です。

教育に関する講演会で、いつもお話していることがあります。それは、お子さんのことで悩まれているときは、それがどのような悩みであっても、親の希望や親の抱く理想に無理やりお子さんを近付けようとしてはいけないということです。勉強、生活習慣などそれはすべてに当てはまります。子供が思うようにならないとイライラは募ります。しかし、そのような場合は性急な態度はとらず、1回深呼吸をして、翌朝小言は言うようにしてみるといいと思います。不思議なことに、翌朝になると、言わなくてもよいことがこんなにあるのかと気付くはずです。それでも言うべきことがある場合は、親の側からはなるべく主張せずに、子供の言い分を真剣に聞いてみてください。

先日懐かしい詩を目にしました。ここにご紹介します。

本当に

本当になって
話をきいてくれると
そのうれしさに
目のまわりがあつくなる
でもその人に
はずかしいから
ぐっとこらえると
ひざが
ガクガクしてきて
体がふっと浮きそうだ

矢沢宰詩集「光る砂漠」(童心社刊)

子供と衝突したときは、「私たちは親子なんだ」ということを忘れずに対応してみてください。親子というのはどうにも切り離せない絆です。
心から向き合えば、子供は開かれた窓を持つようになります

地方への出張が増えました

6月は、講義と講演で2日間、地方に行きます。講義は、大学の4年生が対象です。私の専門分野の話ですね。また、講演は東海地方の私立小学校の親御さん500名が対象です。こちらは、教育論です。
ここのところ、別件でも新幹線に乗る機会が多く、ほとんど毎週1、2回、新幹線に乗っています。

新刊の依頼もあるので、早めに原稿を書き上げねばならないのですが、なかなか筆が進みません。仕事のことでお会いせねばならない方も多くなりました。しかし、幾人かはお待たせしています。申し訳ありません。焦らず徐々に歩を進めるしかありません。

少し古いけれどディスカバージャパン

昨日は大変でした。午後1時に金沢で、医学部入試講演会終了後、帰京する直通の新幹線が夜7時までなかったからです。途方にくれました。6時間待ちです。

結局、特急「しらさぎ」で石川,福井、滋賀、岐阜、愛知を回り、名古屋からのぞみで帰京しました。相当な時間を無駄にしましたが、収穫もありました。「しらさぎ」はスピードはゆっくりですが、趣がありますね。駅名を覚えてしまいましたが、途中停車した加賀温泉では、石坂洋次郎の「ある日私は」を思い起こし、鯖江では、焼きさば寿司とめがねを連想し、武生ではいわさきちひろのことを考えながら、静かに旅を楽しみました。

その後、敦賀では巨人の内海投手のことを思い、米原では、33年前に講演のお誘いを受けた米原高校のことを思い起こしていました。もし、米原高校に講演に行っていたら何を話したのでしょうかね。どういう出会いがあったのか。米原の後停車した大垣は、高校野球の強豪がある場所ですが、少々寂しい感じでした。意外です。想像とは異なります。その逆に尾張一宮は、名前からすると古いイメージがありましたが、車窓から見える風景はすごい都会でこれまた驚きました。

それにしても金沢に行くときに乗った「はくたか」は、酒の名前のようですが、速いです。そもそも実際時速120kmぐらいで飛ぶようですね。その点、さぎは56kmとやはり遅いです。
しかし、こまちは人間ですから、さぎより遅いですね。小野小町が100m走で何秒なのか、そんなのわかりませんね。列車の命名の基準はどういうものなのでしようか。


子どもを伸ばす親

東洋経済オンラインの記事が明日公開になります。
今回は、お母様お父様向けの記事ですね。こういう親に育てられると伸びる子供に成長するという話をしています。ぜひ読んでみてください。

今期の受験も終わり,来年に向けまた指導がスタートしました。ますます難度が増す医学部ですが、指導者の力の有無で合否が決まるといっても過言ではありません。

受験生も指導者選びの眼力が必要になりますね。特に英数を誰に教わるかが重要な鍵ではないかと考えています。


人に泣かれてばかりの人生もいいものだ

今年は、合格速報は控えめにしていましたが、今日は成果を報告します。まず、夕方4時に帰ると、西新宿のQ予備校の生徒から留守電にメッセージがありました。内容は東京慈恵会医科大学に正規合格したという内容です。1年間難関医学部生物を教え、前期と直前期に医学概論を教えた生徒です。防衛医大の対策もしました。しかし、印象的なのはやはり、2日にわたり指導した慈恵医大のMMI対策ですね。少しでもお役に立てたのなら、うれしいです。

ほかに医学概論を長期にわたり指導し、慈恵のMMI対策も指導したI予備校の教え子も、補欠ナンバーが超若く、すぐに繰り上がることでしょう。連絡がまだの人がいますが、おそらく予備校には連絡があったのでしょう。

今日はほかに、2年越しで指導したI予備校の1浪女子も、埼玉医大後期に正規合格しました。これはうれしいです。何せ予備校で会うたびに号泣されていましたからね。こういう仕事ですので、私の人生は人に泣かれてばかりの人生ですが、うれしいです。日大医学部も繰り上がるのではないか。

人間はあきらめてはいけませんね。アマゾンで注文したMMIの英文書籍が2冊届き、いま面白く読んでいます。カナダのMMIはよく考えられていますね。

講演会で大阪に行きます

明日は、東洋経済オンラインに久々に原稿が公開されます。
今回はショッキングなタイトルがついています。これには驚きました。
ただ、タイトルについては編集の主導権が編集部にありますので、タイトルと小見出しはお任せしています。

今年の春3月は、大阪と金沢でひとまず大きな医学部合格講演会が開催されます。オンラインに掲載された記事の内容の続きは、ぜひこちらでお聞きください。
多くの受験生、ご父兄の皆さまとお会いできることを楽しみにしています。昨年と比べて、担当した生徒の合格率も急上昇中ですが、詳細については触れません。

未だ、最終合格していない教え子の合格を祈るばかりです。


不思議な2次試験問題

明日は久々に東洋経済オンラインの記事が更新されます。
今回は不思議な医学部2次試験問題にどうアプローチするか、というコンセプトで書きました。取り上げたのはかなり風変わりな問題です。勉強だけができるという受験生にはかなりつらい出題でしょうね。ご興味のある方はご覧ください。最近二ユースで報じられた千葉大学の事件などもあり、今後はますます2次試験で受験生の人物を見る方向に進むのでしょうね。
しかし、短い時間で受験生とやり取りしてもなかなか、本質的なところまでは分からないでしょう。
医師の職業は聖職であるがゆえに、手間暇かけて受験生の人となりを探るしかありません。
選考する側もご苦労だとは思います。

ところで、前回のブログを見た方から、「先生は軍人がお好きなのですか」と尋ねられました。身長181cmで体格が良いので、そのように見えるのかもしれませんが、もろにそんな感じでもありません。あしからず。

防衛医大の指導はいつもと何かが違う

先日、名古屋出張から帰京してすぐ、防衛医大の一次試験に合格した4名を指導しました。指導内容は秘密ですが、2時間の指導中、私自身何とも不思議な気持ちになりました。親心というのか何というのか。自衛隊の医官の勤務先は自衛隊病院のような機関だけではないですからね。部隊に配属される場合もある。危険が伴う国際貢献の場に出向く場合もないとは限らない。4人の顔をみつめながら、あれこれ考えていたら、不思議な感覚になりました。やはりふだんの講義とは何かが違います。まったく的外れですが、講義をしながら橋本以行(もちつら)とか「真夏のオリオン」とかを思い出していました。「命を粗末にしてはならない」というあの言葉を思い出しました。命の危険はないとは思いますし、医官の皆さんとは関係ない話ですが、リーダーは部下の命を粗末にしてはならないというあの姿勢を思い出したのです。話が重くなりました。何を考えているんでしょうかね。7日は早朝7時半から第2回目の講義です。

近況報告

大変長らくオフィシャルサイトを更新できず申し訳ございません。
どうにも忙しく、日々の講義や原稿の執筆に追われ、手が回りませんでした。まだまだ慌しい日々が続きますが、今後はもう少し定期的にサイトを更新するようにします。

さて、本日日曜日は大きな出来事がなければ朝日新聞の朝刊に小さな記事が出るようです。「教育考差点」という特集で、公教育について少々語っています。朝日新聞をお取りの方はご覧ください。

10/21発売日経BP(日経メディカル協力)編集「キミも医者になれる」にも、私が2Pで出ています。医学部志望の方は、こちらもご覧の上、対策を立ててください。

合格率が高すぎる。この数値,来年維持できるか?

先日、ある方から、某予備校の合格者の体験記に先生の名前が出ていますよ、と言われました。予備校のHPを見てみると、1年間私の「論点生物」と「基礎医学概論」にほぼ休まず熱心に出席し、東京慈恵会医科大学に合格したI君の体験記でした。

彼は、私の医学概論をほめておられましたが、合格者にほめられるのはやはり嬉しいですね。

彼の批評には触れられていませんでしたが、実は、慈恵医大の生物と私の講義がかみ合っていたことも少なからず貢献ポイントでは、と思っています。

何せ、カエル卵の表層回転、ニューコープ、ハーディ=ワインベルグの法則、遺伝と家系図は、私の講義では定番で、しつこいぐらい取り上げていましたからね。

彼と同様1年間、1度も休まず、「論点生物」に出席していたY君も、杏林大(医)と帝京(医)に合格したと先日、自宅に電話を頂きました。有難うございます。
彼曰く、私の論点生物は「講義についていくのがやっとだった」とのことですが、今は、受験生が逃げ出したくなるくらいの量と質の講義をしないと合格は難しいですね。

今年は、関わった方が難関医学部にどんどん合格し、少し出来すぎです。こういう年の翌年は要注意です。この高い合格率を果たして維持できるのか。

昨日も、1年医学概論をみっちり指導し、直前期の1月~3月、PQ(プライベートクエスト)の回数が最も多かったSさんから福岡大医学 部に合格したと電話を頂きました。世話になった方にひと言お礼を言うことは、人としてあるべき姿です。

皆、礼儀正しいです。それぞれの地で学び、6年後には良い医師になることでしょう。

―追伸―

予備校のホームページを見ましたが、Fさんは日医に、Kさんは東邦医に合格されたのですね。とても嬉しいです。
おめでとうございます。

国立医学部合格の当たり年

国立大学医学部前期の合格発表が続いていますが、先日もこのコーナーに登場した、1年間生物をみっちり指導した西東京のお嬢様が何と、山口大学医学部に合格しました。彼女は、今日発表があった昭和大医学部Ⅱ期の1次にも合格していますので、快挙です。昭和大学医学部は生物が難しく、これまで指導してきた者としては何とも嬉しいです。

 実は今年は当たり年で、1月末から2月末にかけて集中特訓をしてきた多くの方々がこの数日で多数合格しました。特に深く指導した方で言うと、弘前大医学部、群馬大医学部、千葉大医学部の合格者でしょうか。それぞれに印象深い方たちです。もちろん、学科もお出来になったのでしょう。ただ、2次対策をじっくり指導した方が難関医学部に合格していくのは感慨深いです。

 ところで、東洋経済オンラインに明日くらいに新しい記事が出ます。今回はerlaubtes Risiko(許された危険)について、先日3月1日の認知症判決を素材に書いています。この話は今年の1月に、医学部受験生に認知症事件にからめ解説しましたが、皆ポカーンとして聞いていました。難しく感じたのでしょうか。
 許された危険の法理は、私の専門分野で、私の師匠の師匠のそのまた師匠のハンス・ヴェルツエルという学者が言及している理論です。読んでみてください。

人の心を動かすもの

今日は、又嬉しいことがありました。
それは、続々と合格者が出ているからです。

身近なところでは、約7ヶ月にわたり医学概論や英論文などを指導した、西東京のご令息が岩手医科大学に繰り上げ合格しました。夕方5時過ぎ、合格発表のすぐ後でしょうか、西東京のスタッフの方からお電話を頂戴し、本人と直接お話しました。思えば長い年月でした。

西東京のスタッフの皆さんの温かい真心を私は日々見ていましたので、心からの愛情は人の心を動かすのだなと、実感しました。愛情を注がれた人は、また、人に愛情を注ぐものです。今度は、彼が東北の地に戻り、地域の人に恩返しする番ですね。

また、集団講義を担当する精鋭予備校では、東京女子医大の一次合格者4名のうち、3名が正規合格しました。女子医は昨年が0、おととしが4名の1次合格に対して、正規合格者は1人も出ませんでした。
ですので、今回は快挙です。

私の研究する先進医療の話を直前に講義で学ばれ、その問題点を二次試験で披露してくださった方もいて、合格したのは嬉しい限りです。確かに、人が合格していくことは教育者としては嬉しいです。

でも、寂しい側面もあります。それは、この春から彼らにはもう、教えることが出来なくなるからです。春にはお別れですね。

“だいせんじがけだらなよさ” (寺山修司) ですね。

導く喜びを味わう瞬間

 医学部の合格発表が続いています。最近一番うれしかったのは、1年間、みっちりと医学部生物を指導させて頂いた西東京のお嬢様が、現時点で私立医学部2校に正規合格したことです。センター試験生物も9割取られましたし、ひとまず責任を果たしました。また、同じく昨年の11月末から2ヶ月強、医学概論を個人指導したご令息が、先日私立医科大学に正規合格しました。午前11時に予備校のPCで合格発表サイトを一緒に開き、受験番号を発見したときは手を取り合い喜びを共にしました。
 
 それにしても私立医学部はどこも3500名ぐらいの受験者で、一次合格者は400名ぐらい。そこから100名の正規合格者に入るとは快挙です。ふと、ほぼ一人で指導して、医学部に6割ぐらい入学させていた昔を懐かしく思い出しました。

そんなことを考えていたら偶然でしょうか。以下のメールが届きました。

ご無沙汰しています。私は高田馬場のMAで先生の指導を受け、ちょうど2000年に帝京大学医学部に正規合格したKという者です。その節はお世話になりました。
大げさでもなんでもなく、先生のご指導がなかったら医者にはなれなかったと思っています
私も早いもので医師になってから10年が経ちました。
千葉県で、産婦人科医師として勤務しています。
先生の東洋経済オンラインのコラムをたまたま拝見して、このサイトにたどり着きました
最初はなんとなく拝見していて、読み進めてから先生の執筆していた参考書の文面に良く似ているなあと思ったら、最後に先生の名前があって。とても懐かしく拝見いたしました
これからも先生の活躍を陰ながら応援しています!」

 この方は優秀な方で2年間指導しましたが、1年目にも私立医大の1次試験には合格していたのです。この当時は、(月)~(金)の毎朝6:30~9:30まで医学部生物テストゼミを担当し、そのほかに医学英語長文読解、数学Ⅲ、医学部小論文を一人で教えていました。受験生を背中でぐいぐい引っ張っていた時代ですね。現在は、医学部生物は極端に難しくなっており、最先端の研究論文などにも目を通しながらの指導でないと、なかなか成果は出ません。
 私も気を抜かず、今年の最新入試問題を解明しつつ、指導していきたいと思います。集団講義で生物と医学概論を1年間、指導した予備校の生徒はかなり数字を挙げており、明日も日大医学部2次試験の集団講義です。

「書きます」宣言!!

12月17日は約3ヶ月ぶりに東洋経済オンラインに記事が配信されました。これまで講義で忙しく、原稿が書けず失礼致しました。

ここからは受験期ですので連載を急速回転していきます。また、先日読売新聞から原稿依頼の連絡があり、読売オンラインに「公立中高一貫校」の記事を書きました。もうすぐ公開になると思います。こちらもご覧ください。

講義もフル回転の中睡眠を削って原稿を書いています。1本2時間で一丁あがりですね。実は今、小説も書いているのです。30年前の榊その(占星術師)さんの予言は大的中ですね!! 

「あなたは、小説を書く星の下にいる」という予言です。

当時は何を言っているんだろう、と思いましたがプロはスゴイですね。
本当に書き始めてしまいました。
世に出るかどうかは別として、今後は小説やドキュメントにチャレンジです。まずは短編集を出版したいと考えています。



またまた、サクラ咲く

12月9日は私の指導した高校3年生3名の合格発表日でした。
内訳は、筑波大学医学群医学類推薦入試2名と、東京医科大学の公募推薦1名です。

結果は、筑波大学が1名合格、東京医科大学も合格しました。本音を言うと、3人全員合格すると予想していたのですが、筑波の1名は本当に残念です。彼は、東京の難関私立中高一貫校の男子でしたので、私の印象としては頭が良すぎたのかな、とも思います。敗因があるとしたら、それしか考えられません。

筑波の場合、茨城という特殊性から、総合診療医という志望理由を打ち出した方が良かったのかな、とも思います。
私も忙しくなかなか十分な指導ができず申し訳なく思います。もう少し、最終の詰めをやるべきでした。残念です。

今回の講義で印象に残ったこと。それは2つあります。

筑波の合格者は、大学医学部でも習わないような高度に専門性の高い話を延々と致しましたが、初めて聞いた話が多かったのか、うんうんと頷きながら熱心に講義を聞き板書を写しておられました。

東京医科大合格のお嬢様は、相当気合を入れて指導しましたが、お兄様が合格した後の入試で本人も大変だったと思います。それにしてもよく、推薦の難関校に合格したものです。

このお嬢様について印象に残ることは以下のとおりです。

指導を終えて私はひと言「倍率も高く大変だけれどお兄さんも合格したのだから、これまで教えてきたことを最大限活用して力を出し切ってください」と申し上げました。それに対しお嬢様は

「私はプレッシャーに強いです」

と、私の方を力強い瞳で見られました。私が逆に気合を入れられた感じです。お二人とも良医になることでしょう。

さて、一番心配な港区のご令息と、西新宿と西東京のご令嬢、ご令息達は今後の展開はどうなりますでしょうか。日々、精進するばかりです。

早くもサクラ咲く

指導をしている医学部受験生の合格状況です。医学部に関しては、現在のところ2勝です。金沢医科大学のAO入試と、北里大学の指定校推薦入試に各一名ずつ合格いたしました。北里大学の合格者に関しては、日曜日、現在指導している妹さんと一緒にわざわざ合格者(お兄様)が合格報告に来てくれました。遠いところをわざわざ来てくださり、また寒いのに私が外に出てくるのをずっと待っていてくださいました。

礼儀正しい方です。やはりこういう人は合格していくのですね。
かなりの時間指導いたしましたが、良い医者になる資質をお持ちだと思います。

ただ、この二人は、私の力ではなく自らの力で合格したことを申し添えねばなりません。ひと言で言うと、二人の能力の高さのなせる業です。私はただ隣でサポートしただけです。
 
ところで、大変心配な港区在住のご令息は医学部ではありませんが現在のところ未だ合格通知が届いておりません。なんとも申し訳ない話で、私の力の至らないのが原因です。彼には、一般入試でぜひ合格して欲しいものです。優秀な現役生なので早慶のどこかの学部に合格することでしょう。

合格発表に関して、年内に難関国立医学部、難関私立医学部の合格発表が続きます。年内はここまで。いずれにせよ心配です。


最近多い質問

医学部の新書の原稿が終わったといっても、忙しさは続いています。
来年の1月に大学生向けに3冊の就職本が出版されるのですが、その校正などが大量に出てきています。粘り強く一つひとつ片付けていかねばなりません。ところで、最近気になる出来事がありました。指導をしている学生から妙な質問をされたのです。

その1
「先生、趣味はサボテンなのですか?」

その2
「小林公夫Facebookを見ました」

その3
「小林公夫ツイッターを拝見しました」

エーッと驚いてしまいました。
全て同姓同名の人ですね。私はトゲのあるCAM植物は苦手ですし、Facebookもツイッターもしておりません。

ただ、その4「先生は2000人くらいの大学生に講義をしていたのですか」
この質問への答えは「本当です」
この方はブックスキャンの私のインタビューに掲載されていた、写真を見たのでしょうか。
大学での講義は少ないケースで受講生は300人、多いときは1回の講義で3000人くらいでした。
不思議に思われるかもしれませんが、講義は学生の数が多ければ多いほど楽なのですよ。

11月になってしまいました。東洋経済オンラインの連載を再開させねばなりません。
今週は絶対に原稿を提出します!!

東洋経済オンラインの連載を再開します

医学部の新書の原稿が、ようやく終わり、今週の末から、東洋経済オンラインの原稿を再び書き始めます。年末に向けて連載回数も増やしたいと思います。また、まだ完成していない単行本の原稿も書き進めます。
ところで、近日中に、取材を受けました「ブックスキャン」の記事がネットに大きく公開になります。こちらは2か月前に取材を受けました。私のサラリーマン時代の武勇伝やマル秘話を公開しています。いわば、私のミニ自叙伝ですね。新刊は今ほぼ書き終えた医学部の新書が12月頃に出版され、大学生向けの就職本は来年の1月に新刊が3冊出版されます。教学社の「医学部の面接」は来年大改訂です。大コンメンタール刑法の再校の最終校正もそろそろ仕上げねばならず、猛烈に忙しくなりました。

合格請負人としてますます努力します

昨日、今年の司法試験の合格報告についてお知らせしましたが、その後また追加で合格報告がありました。メールの概要をお知らせします。

ご無沙汰しております。
司法試験に合格しました。

昨年は不甲斐なく先生に連絡差し上げれず、申し訳ありませんでした。
やっと、やっとスタートラインに立てます。一年生からの小林先生のご指導がなければ、勉強の仕方もわからず挫折していたと思います。本当に小林先生と出会えたことがこの合格につながっています。
本当にありがとうございました。

                      修了生 A.M

この学生も2年間みっちり小林ゼミで指導した生徒ですね。
桜美林の公開講座でも指導しました。法曹界は厳しい現状がですが、立派な弁護士になってほしいと思います。

それにしても、今年の合格報告は2人とも女性でした。
男性陣はどうしたのでしょう。

嬉しい合格報告

今日、9月8日は司法試験の合格発表の日でした。すでに2名の方から連絡があり、1人は不合格でしたが、1人は合格したそうです。
法科大学院で2年間みっちり刑法を教え、その後桜美林の研究所主催の公開講座でも指導した生徒です。
合格メールの内容をほぼそのままお知らせします。

小林先生
無事に合格しました!
小林先生には大変お世話になり、本当に有難うございました。
合格できましたのも先生に教えて頂いたおかげです。
また改めましてご報告をさせて頂きます。

                   修了生 TW

だいぶ時がたちますが、いつまでもこのように言って頂き嬉しい限りです。
今月は、他に難関入試を受験している教え子からも合格のメールが届きそうです。
合格請負人として、さらに頑張らねばなりません。

読者から届いたメール

8月15日に東洋経済オンラインに「ひらがな」で生物入試の解答を書かせる帝京大学医学部の話を紹介した。すると意外なことに読者の方から1通のメールを頂戴した。以下その内容を概略で記す。

 30数年前、帝京大学医学部の受験をしました。幡ヶ谷の短大校舎だったかな。
 ペーパーテスト直前、理事長が教室視察にたまたまおいでになったのですが、その時、質問は何かないかと試験官が受験生に声をかけたとき、1人の生徒が「わからない漢字はひらがなで書いてもいいか」と尋ねたのです。理事長にとっては、最高にがっかりした瞬間だったのではないかと、思いをめぐらせたものでした。
 帝京大学医学部の受験でひらがなの答えを要求されるという文章を拝見して、思わず昔話を思い出しました。失礼いたします。

 短く、何気ないメールだが、30数年も前の自らの入試の体験をお知らせ頂いたことに、私は感謝するとともに返事のメールを書いた。
 送信者は、おそらく自らの受験時のことが懐かしく思い出されたのだと思う。そのぐらい医学部受験は大変で思い出深いものなのだろう。
 受験というのは人間にとって越えねばならない壁であり、忘れられない体験なのだとも思った。

 今回の記事は、結論が明確になりやや長い内容になってしまったが、私が書いた軽く短い記事に読者の方が反応してくださり、直接感想をお聞かせいただいたことがとても嬉しかった。なぜならば、それはその人の人生の断片にわずかだが触れることができたからだ。

フル回転の夏!!

本が売れない時代で、出版業界、取次業界は戦々恐々としていますが“学びの本”は調子が良いようで、教学社の「医学部の面接」、「医学部の実践小論文」は、2冊同時に増刷が決定いたしました。

また、TSUTAYA BOOKS 就職ジャンルでNO1に輝いた高橋書店の一般常識の本は、6月に新刊が発表され、また、来年の1月にも新刊が出版されることになりました。

なかなか忙しいところですが、のんきに構えてはいられません。今年の1月から頼まれている某出版社の「医学部受験の新書」もそろそろ仕上げねばならないからです。

東洋経済オンラインを見られた銀座のハイカラな出版社からも出版の依頼があり、頭はフル回転の夏になりそうです。


究極の難問

明日公開の東洋経済オンラインは東邦大学医学部で出題された難問を取り上げます。

何十年にわたる受験指導歴で、私が日本一の難問と位置づける問題です。是非ごらんの上、回答にチャレンジしてみてください。

皆さんならば、どういう回答を考えるでしょうか。


今や、英語力は医者に必須

今日は、締切りから約1週間になる、赤本の国立大学医学部後期試験の医学英論文の解答を書きました。私の第2の専門分野である分子遺伝、分子生物に関する英論文だったので、比較的スラスラと訳せ2時間ほどでA43枚分の和訳を完成させました。全ゲノムシークエンスに関する出題で面白い内容でした。

この某国立大医学部は偏差値72の大学ですので、それなりに大変なのは分かりますが、この問題に高校生が取り組むのはかなり大変です。やはり子どもの頃から語学力はつけねばなりませんね。明日はまた、東大レベルの英文を学生と読みますが、英語は予習を全くしませんので、これから東洋経済オンラインの原稿でも書くことにします。

東洋経済オンラインは、7月3日(木)はお休みしましたが、7月10日(木)は掲載されます。次回は、私が日本一の難問と称している東邦大学医学部の2次試験の過去問について論評しています。

是非、ご覧ください。


オンライン連載は未知の世界

先日、6月18日に公開になった東洋経済オンラインの記事、“出来る生徒は「ノートの取り方」が型破りだ”は、2ページものとしては異例の70万PVを達成したそうです。

何時間もかけて考えた記事が5万PVしかアクセスがなく、移動の電車の中で30分ほどで書いた記事がランキング1位で70万PVとは、なんだか狐につままれたような感じです。世の人々は一体何に興味があるのか、全く分からなく不思議だというのが本音です。

このオンライン、マスコミ人が多く目にしているのか、ここのところテレビ出演の話や本の執筆の話がチラホラ舞いこんでいます。

どうなりますことやら・・・。

現代日本執筆者大事典(第5期)に掲載されることになりました。

先日、日外アソシエーツという会社から連絡がありました。
なんでも私の経歴と作品などを、この5月に出版予定の「現代日本執筆者大事典(第5期)」に掲載したいとのことでした。この事典は現代日本を代表する作家、研究者、ジヤーナリストなどが掲載されるとの説明でした。
日外アソシエーツといえば、2000年初頭に出版された「現代日本人名録」には既に掲載されています。ただ、現代日本執筆者大事典の第4期版には残念ながら掲載されませんでした。おそらく当時の著書の数が少ないことや実力不足などがその理由と思われます。しかしながら、今回は研究の成果として発表した医学や法学の専門の論文や20万部を超える刷り部数を記録した新書などの存在が評価されたようです。
出版社の方から原稿提出を依頼されましたが、著書の数や論文の数が膨大であること、また、講義、研究、新書の原稿執筆などが立て込みまだ提出できていません。急がねばなりません。


元教え子からの合格報告

博士のお仕事日記」を長らく更新できず申し訳ありません。
私の現状を申し上げますと、かなり忙しい日々が続いており、落ち着いて文章を書くという状況ではありませんでした。ところでご案内が遅くなりましたが今年の司法試験は、2名から合格報告、5名から論文不合格の知らせを受けました。
5名については最後まで法科大学院で指導ができず、悔いが残りますが、非常勤職は5年が任期満了ですのでいたし方ありません。せっかくですので2名からの合格報告の一部を匿名で以下に紹介します。

「今年2度目の受験で司法試験に合格することができました。これも既習2年の入学時から1年間小林先生の熱意あるご教授のおかげと思っています。本当にありがとうございました。友人から、すでに補助教員をお辞めになったと聞いたのでメールでのご報告となってしまいました。お許しください」(T.Kさん)

「ご報告遅くなり申し訳ありませんでしたが、今年の司法試験合格できました!! 出来の悪かった私に、基礎から根気強く刑法のいろはを教えていただいたおかげです。実際、まだ成績は出ていませんが、刑法は得点源になったように思います」(K.Yさん)

以上のような内容ですが、K.Yさんはとても出来が良く謙遜されていますね。いずれにしても、教育補助教員をやめても多くの教え子から様々な報告を受けるのは嬉しいものです。
今年不合格だった教え子には是非来年の合格に向け精進してほしいと思います。


本が売れない時代

このコーナーを長らく更新できず、誠に申し訳ありません。とにかく今年は激動と波乱の年なのです。まずこの春がとてつもないスケジュールでした。2月から3月にかけて末期ガンを患う義理の父の終末期の看取りで、北海道の美瑛と東京を往復する日々を送りました。とても仕事どころではありません。その後の4月以降は、時代の情勢を見きわめ本の執筆から、教える仕事に本格的に移行しました。ここのところ桜美林大学の研究員の会合にも満足に出られない程忙しい日々を送っています。ほぼ毎日早朝から晩まで外出中です。医学論文2本と法律の論文の進行も止まったままです。その様な多忙な中、少しずつ本の執筆も進めており、大学生のための就職試験対策本と医学部受験対策本は動きがいいようですね。
先日、高橋書店の就職本は、30200部増刷になり、医学部ものは増刷部数は普通ですが、教学社(赤本)の「医学部の実戦小論文」、同じく「医学部の面接」が、それぞれ増刷になりました。大学生をはじめまだまだ小林のフアンがおられるようです。今、新しい新書や受験の単行本も企画されておりますが、書く時間が全くありません。医学の研究、法律の研究の他私のライフワークである分子生物学、発生生物学の研究に勤しむ今日この頃です。



    

新書を書くということ

最近出版した新書「公立中高一貫校」について、新潟大学の三浦淳教授(私と教授は面識はございません)が研究室のブログで御論評くださったので、このお仕事日記で、教授の指摘に対してお返事したいと思います。

まず、的確な御論評に頭が下がる思いがしました。何故なら、論評中、教授が指摘されている本書に対する注文は、実はこの本の出版時に編集者と2人で「どうしたものか」と頭を悩ませた点がまさに述べられていたからです。ただ、この御指摘には反論といいますかいくつかの正当な理由がありますのでここにお答えします。まず、4章と5章の内容が親子の違いはあるにせよ重複している点は、編集部の最終的な意向でこの形に落ち着きました。もともと子供の記述は、各章の末に分離してコラムとして掲載するとの了解を得た上で私は取材を進めておりました。しかし、ちくま新書という格調の高さもあるのでしようか、そういう構成的な編集は過去に例が無いようで、編集部の判断で4章、5章と繫がる形式となりました。この変更には頭を抱えました。この時点で、実は仙台の取材対象者には子どもの記述をすべて省いてもよろしいかと打診をしたのです。しかし、関係者との話し合いの過程で「子どもが本に出ることを楽しみにしているので省くのは忍びない」と説得され、この形式に落ち着いたのです。

今思えば、本の完成度の点からは、本書においては、4章だけに絞るべきだったのかもしれません。しかし、取材をさせていただいた子供の気持ちを考えると、今は掲載できて良かったと考えています。教授からの二つめの指摘は、登場する人物が仙台の二華中、青陵中と東京の白鴎中の親子だけではバランスが悪いというものです。これはまさにそのとおりだと思います。ただこの点も新書の紙幅や作家活動の観点から限界があります。公立中高一貫校という全国レベルのタイトルが付いている以上、正論としては確かに、他に北海道、北陸、中部、関西、中国、四国、九州などから各一校は取材し掲載するべきではないかと思うのです。しかしながら、取材費や交通費のことを考慮するとそれはとても実現可能な話ではありません。少し計算しただけでも、印税をはるかに超える経費がかかることは自明だからです。

以上、新書を書くという作業が、傍から見るよりもかなり難しくその執筆工程で様々な価値の衝突があるというお話をさせていただきました。読者の方々には、お読みいただいた点は大変有り難く、感謝申し上げます。今後、ますます努力いたしますのでどうか宜しく御願いいたします。

著者としての責任

近所のご老人に聞いた話です。最近、書店が閑散としているというのです。その現象は何となく感覚的に理解できます。理由の一つとしては昔のように書店まで足を運び、本を購入して読む人が減少しているからだと思います。では、ネットの書店が盛況かというとこれもまたそうでもありません。「アベノミクス」ではなくいわゆる「アべコべノミクス」による不況ですね。これまで出版の花形だった新書の売れ行きにもそれは現れています。面白そうな新書でも発売後、昔のような初速の勢いがないようです。新聞の広告を見ても景気のいいキャッチは影をひそめています。
何故なのでしょうか。本を買わない人々は一体どこにいるのでしょうか。

あたりを見回してひとつ気がついたことがあります。それは、図書館で借りる人の数の増加です。先日、自宅近くの図書館に行き驚きました。高齢者や若い母親を中心にものすごい活気がありました。以前は書店にいたであろう人々が、そっくりそのまま図書館に移動してきたかのような感じです。
ふと、私の本はどういう読まれ方をしているのか気になりました。これまで自著が図書館でどのような動きをしているのか、調べたことなどありませんでした。そこで、全国の主要な図書館や、極端に辺鄙な図書館を30ほどピックアップして、「小林公夫」と入力し検索してみました。私はその結果に驚きました。私がこれまでに書いた新書はほとんど図書館に所蔵されていたからです。それも、もう何年も前に書いた「勉強しろ」シリーズがいまだに貸し出し中になっているケースもありました。

先日出版した「子供のための苦手科目克服法」にいたっては、調べた図書館がすべて貸し出し中で、横浜市立図書館は予約が21人待ちでした。全国に図書館は4000以上あると聞きますが、その図書館で、私の知らない誰かが私の作品を読んでいるということを知り不思議な気持ちになりました。本が売れるとかそういうことは二の次ですね。私が仕事をしている時、睡眠中も書物を通じ誰かが私のメッセージを受け取っているのです。著者としての責任とこの仕事の意義深さを考えさせられる出来事でした。

新判例・裁判例を分析、研究する1週間

以前、博士のお仕事日記でも紹介しました刑法の長大な論文ですが、論文が掲載されるコンメンタールが共著のため刊行時期が大幅に延び、論文の発表が遅れております。原稿の締め切り自体は今年の3月末でしたが、共著者の中にまだ原稿が出来上がらない方がおられ、第2巻の1冊分の原稿がそろわない状況なのです。出版社に私が原稿を提出したのが4月1日でしたから、もうかれこれ8ヶ月になろうとしています。
まあ、他に相手のあることですから待つほかありません。ただ、コンメンタールの場合、共著者の原稿提出時期にずれがあると、その間にかなりの数の新しい判例、裁判例が出てきてしまいややこしい話になるのも事実です。私の場合も先日tkcで「可罰的違法性」、「正当行為」、「正当業務行為」、「超法規的違法性阻却」と検索をかけてみたところ、この間にかなりの数の新しい判例、裁判例の増加を認めました。これから重要な判例をセレクトして追加作業に入ります。仕事というのは次から次に出てくるもので、なかなか休みが取れません。この1週間は早朝から夕方まで1日10時間の研究態勢となりそうです。

ちくま新書、大幅に書き直し入稿しました。

長らく「博士のお仕事日記」を更新できずに申し訳ありませんでした。
今日はいろいろご報告がございます。まず、悪戦苦闘しておりました、ちくま新書ですが、1章、2章、5章をこの2週間で大幅に書き直し、又、3章を合計3万字ほど新たに書きおろし、何とか出版社に提出いたしました。出版社のほうでも12月4日発売に間に合うようにぎりぎり入稿されたようです。

タイトルは秘密ですが、知り合いの関係者に話したところ、発行部数の多い地方のリビング新聞社が先日発売された「子供のための苦手科目克服法」と共に紙面で、プレゼント紹介してくれることになりました。掲載は12月上旬とまだ先の話ですが良い徴候です。又、「子供のための苦手科目克服法」ですが、能開センターの近畿地区本部のホームページと関係の約20校のホームページで本日から詳しく紹介されています。ご興味のある方は、ごらん下さい。

本の出版で言うと、今月は10月15日に新聞ダイジェスト社から初版1万部強の「一般常識問題集」が、10月25日頃に早稲田経営出版から、ベストセラー「2015年版一般教養の天才」(初出1993年・20版)が発売になります。ここのところ書く仕事が集中していますが、今年は残りの時間で、司法試験刑法の解説書のような本を書こうと計画しています。名付けて「司法試験の論文に役立つ小林式樹形図・形法学」です。
明日からは、中国刑法と我が国の刑法の比較に関しても研究を再開し、朝独(朝5時から独文献や独の小説を読む)も再開します。アカデミックな日々が続きそうです。


司法試験合格メール

今日は嬉しいことがありました。1年生のときから毎週1回3年間、一度も休まずみっちり刑法をお教えした法科大学院の院生から午後4時10分過ぎに司法試験合格のメールを頂戴したからです。

掲示板のナンバーと受験票のデータも画像で送られていました。4時に合格発表ですから、御両親と祖母に連絡された後、すぐに連絡して来てくれたのだと思います。と言いましても、私は現在、法科大学院の教育補助講師職はすでに退いているのです。それなのに忘れずに連絡をくれるなんて。

加藤さん、おめでとう、そして有難う。
こういう感動を味わうと、「受験指導のプロ」と人から呼ばれることも、またいいものだなと感慨にふけります。小林刑法体系の継承者が又一人増えました。
ところで、彼よりも時間をかけてお教えしたゼミ生は来年の受験になります。この調子ですと来年はさらに沢山合格するのでしょうね。今から楽しみです。

PHP新書完成!

25.8.26

最初の大阪取材からすでに約1年の歳月が流れましたが、ようやく手を焼いたPHP新書の原稿も私の手を離れました。今回は、テーマが難しく考えさせられる内容だったためか、予想どおり苦戦しました。実は第一稿として6万字程度は5月の段階で既に書き上げていたのですが,編集担当者と「妥協を許すことなく、よりよい作品をつくろう」と話し合い、第一稿を全面的に、ほぼ100パーセント書き直しました。更にその後、新原稿も4万字ぐらいプラスしてようやく完成させたわけです。

結果として、図版を入れると270ページほどのやや分厚い新書になりました。私の書いた新書では一番厚い作品でしょうね。発売は、9月18日ですが、そろそろネット等で、予約販売がなされるかもしれません。タイトルは意外なタイトルです。ただ、企業秘密で口止めされていますので、詳しいことはお話できません。あしからず。

尚、筑摩新書の締め切りもあと、1週間と迫りましたが、ここに来て雑用が多く全く原稿に手がつけられません。えらいことです。今日中に雑用を片付け明日は早朝4時半に起床し、一万字弱は書かねばなりません。この1週間は本業の刑法の研究もお休みで、筑摩新書の原稿執筆に追われそうです。


2013.8.23

甲子園の土

今日は、29年前の私のお仕事日記についてお話します。昨日、夏の甲子園大会が終わりましたが、29年前の今頃、私は少女雑誌の芸能デスクとして、夏の甲子園大会を取材していました。今の仕事とは全く似ても似つかないですね。当時、宮崎県都城高校の左腕で田口竜二さんという方がいて、彼を取材するために、甲子園に行ったのです。田口さんは、その年の春の選抜でPL学園の桑田さんと投げあい準決勝で惜しくも敗れたのですが、そのひたむきな姿が感動を呼び、ダンボールにして何箱もファンレターが届いたそうです。カメラマンは、石川正勝さん。石川さんの御親戚がたまたま甲子園から徒歩数分の所にお住まいで、そこでお世話になりつつ取材を続けました。もう29年前のことですから、あの時の取材のことは詳しく覚えておりません。しかし、二つの事柄は鮮明に覚えています。

一つは1回戦、都城高校が足利工業高校に勝ち、彼の宿舎に取材に行ったときのことです。夕食のメニューに驚きました。その日のおかずはとんかつでしたが、少し普通と違うメニユーでした。それはご飯が大盛りのカレーライスだったことです。私もかなり食べるほうですが、とても食べきれないカレーライスととんかつが食卓にどん、とのっていたのを覚えています。
そして、もう一つ。それは、甲子園の土のことです。甲子園のマウンドにのぼったわけでもないし、試合をして敗れたわけでもないのに、何故か私は甲子園の土を東京に持ち帰りました。当時流行のキユ-ピーマヨネーズの空き瓶に甲子園の土を一杯にし持ち帰り、部屋に飾りました。理由は分かりません。しかし、毎日この土をながめていて、ある日不思議な感覚におそわれました。それは、この土は確かに甲子園の土で特別な土なのだけれど、私にとりどういう意味があるのだろうかということです。甲子園で試合をしたわけでもない私が一体何のために甲子園の土を持ち帰ったのか、不思議な気分が漂い始めました。結局、引越しを機に、私は甲子園の土を捨ててしまいました。私にとりこの土は、その程度の意味しかなかったのでしょうか。泣きながら、土を袋詰めする高校球児とはやはり意味が違ったのでしょうか。

2013.7.27

台湾の刑法は結果無価値論

先日、この3月まで5年間刑法を教えていた大学院の学生から、私が今所属している研究所で刑法の講義や講演は無いのかとの、ご質問を頂きました。
大変有り難いお話で、解職後もこのように「私の講義がどうしても聞きたい」とお慕い頂けることを嬉しく思います。何かできることを模索したいと思いますが、研究所の特性から、講演をするにしても中国や台湾の刑法とわが国の刑法の比較というような内容が妥当な線かもしれません。
私は可罰的違法性の研究者ですので、日本と中国の比較検討をしようとも考えておりますが、中国語が不慣れですので、判例の分析がままなりません。これからは少し中国語も勉強せねばなりません。台湾の刑法については、一橋大学の博士後期課程のときに台湾からの留学生がおり研究発表を聞いたことがあります。どういうわけか、その留学生は結果無価値論を支持しており、不思議な感じを抱きました。その留学生の師匠は東大法学部にでも留学していたのでしようか。

作家業のほうは、何とか、PHP研究所に99パーセントの原稿を提出し終え、はしがきと少々の追加原稿でおしまいです。次は筑摩書房の新書ですが、こちらも刊行日が決まっておりますので、急がねばなりません。
休みの無い日々が続いており、土曜日とか日曜日とかいう感覚は全くありません。ポカリスエットに栄養ドリンクを入れて、お茶代わりに飲む毎日です。




2013.7.23

多摩センターの街は、島宇宙

先週末から本日まで,筑摩書房から刊行する新書の取材でてんやわんやでした。
テーマは受験に関する内容で、本日は多摩センターにあるべネッセコーポレーションに取材に行きました。
いやぁ、今日は驚きました。立川南駅から、モノレールに乗ったのですが、これが超満員電車。体は全く動かせません。クーラーはきかず、中はサウナのようで、何十年ぶりかにサラリーマン時代を思い出しました。混雑の理由はどうも、中央大学、明星大学、帝京大学の学生さんの通学時間帯とぶつかったからだと思われます。

取材対象は、教育総合研究所の室長、研究員の方と小学生事業部の編集長、担当者の方4名で、そのうち女性の比率は75パーセント。女性が活躍している会社ですね。大変貴重な面白い話がたくさん聞けて、いつものことですが、やはり自らの足で取材し原稿を書かねば面白い記事は書けないのだなと改めて実感いたしました。これはマスコミ時代からの癖ですね。

ところで多摩センターという街、私は生まれてはじめて降り立ちましたが、べネッセの企業城下町で、三菱東京UFJ、マクドナルド、三越、丸善などが立ち並び、すごいところでした。いわば、300メートル四方を歩くだけで全てかたがついてしまう感じです。人類にとりエネルギー効率のいい街。住んでみたいと感じました。
それにしても、朝日新聞の記者でもない個人の作家に、真剣に対応してくださり有難うございました。マネージメントしてくださった広報部の方には感謝です。明日は半日、取材のレコーダーを聞きつつ原稿を書き、半日は刑法の研究をします。最近、刑法の新しい指導法(小林式樹形図刑法)をあみ出すべく研究時間を増やしています。

2013.7.14

汗牛充棟の本と論文に囲まれて

大変暑い日々が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
このコーナーでの御案内が遅れたのですが、縁があり、私はこの5月から都内の私立大学(研究所)の客員研究員を務めています。研究所の特性から、現在は日中の刑法の比較というテーマで論文を発表すべく,研究にいそしんでおります。
中国刑法というのは、わが国では研究論文が多いほうではありませんが、なかなか面白い研究対象です。特に憲法、刑法の二つの観点から興味深いテーマが出てきそうです。今は、図書館で10ぐらいの関連の論文をコピーして目を通しているところです。

その他には、出生前診断や再生医療の専門書に目を通したり、数学や生物学の専門書を読んだりの毎日です。そうですね、外出しない日は1日14時間は研究や執筆をしていますかね。そろそろ終わりにしなければならないPHP新書は、未だ少し書き足さねばならず、あと一息というところです。

ここに来て秋に向けての新刊もちらほら出版され始めました。その中の1冊、高橋書店の一般常識の本は、初刷りが30000部だそうです。本が売れない時代に刷り過ぎではないかと思いますが、30000人の大学生が目にする本を書くというのはなかなか気持ちのいいものです。いずれにしても執筆と研究の暑い日々がまだまだ続きそうです。


2013.5.29

「君が考えたのなら、それでいい」

このコーナーでの御紹介をあえて控えていたのですが、先日、私の師でありわが国の刑法学の重鎮である大塚仁博士をお訪ねしました。博士が編集責任者を務めておられる刑法の注釈書に掲載される私の原稿を御審査いただくためです。恐る恐る名古屋の博士宅にお電話しお伺いしたい旨を尋ねると、驚くことに一つ返事で快く御了解くださいました。午前中に博士ご指定の「サングリエ」というフランス料理の名店でお待ち合わせをして、最初の1時間は私の書いた論文について御論評をいただきました。

そして、その後は、博士の東京大学法学部時代の話など約3時間近く興味深いお話をお伺いしました。意外だったのは、私の書いた論文に対する博士の見解です。私は二つの質問を博士に投げかけました。
一つは、家庭内での暴行・傷害行為が、可罰的違法性の問題となるのは、244条(犯罪は成立した上で処罰阻却されるが通説)との関係で均衡を欠くのではないかというものです。親族相盗のようにいくら条文に根拠がなくとも、通常、被害の度合いが財産犯よりも高く、回復可能性も低い(弁償しにくい)身体侵害罪が、裁判例のように違法性のレベルで考慮されるというのはいかがなものでしょうと申し上げたのです。

もう一つの質問は、私が新たに導入した「権利行使と住居侵入罪」という概念についてです。「権利行使と恐喝罪」あるいは「権利行使と詐欺罪」などは一般的ですが、「権利行使と住居侵入罪」なる概念は、基本書には記述が無いのです。先人が体系立てていないこのような概念を私が導入することは正しいのでしようかとお伺いしました。
静かに私の話に耳を傾けておられた博士は、付箋が貼られた論文の該当箇所をしばらく注視されておられましたが、たったひと言こう述べられました。

「そうか、君、なかなか面白いことを考えているね。これは新しい議論と言えそうだね。ただ、君がそのように考えたのなら、それでいいじゃないか。君が深く考えてその答えが出てきたのならそれでいい。私もそれでいいと思う。」

と述べられたのです。私は、「は、はい」とひと言返事をするのが精一杯で、その後、この問題に関し更に質問を続けることはできませんでした。思い出すだけでも、胸が高鳴るので、この話の続きは折を見てお話しすることにします。

2013.5.20

共謀共同正犯と放火は的中!

昨日、司法試験の全日程が終了したようですが、4月9日のこのコーナーで私が記した刑法論文の予想はまんざら的外れではなかったようですね。問題を未だ見ていないので、何とも言えませんが、共謀共同正犯、放火が出題されたようですからね。しかし、この予想は誰でも的中しうる予想です。なぜなら、4月9日の「博士のお仕事日記」にも記しましたように、新司法試験がスタートして以来、各論の重要論点では放火と賄賂罪、名誉毀損罪のみが未出題分野でしたから‥‥‥。賄賂罪と名誉毀損罪はねぇ、しかし出題しにくいですねぇ。ですから予想から外しました。

この話については問題を見て分析の上、解答の概要をお話しすることにします。法務省のホームページにはいつ論文の問題が掲載されるのでしょうか。解答が書けずにうずうずしております。どうせ、判例に則し正犯者が加重なことをしでかし、共犯者が公共の危険の発生を認識していなかったというような出題なのでしようが、判例は認識不要説ですからね。必要説に立たなければ、錯誤の問題にもなりませんなぁ。
会話など事情を細かく拾い、共謀の射程を論じさせるのでしょうね。ところで、共謀共同正犯ということは、暴力団が主人公なのでしょうか。早く問題が見たいものですなぁ。

2013.4.9

今年の刑法の出題は?

いよいよ、司法試験が近付いてきましたが、今年の刑法はどこから出題されるのでしょうか。気になりますね。昨年が財産犯、文書偽造罪に重点が置かれ各論の分野が集中的に出題されましたので、今年はやはり、総論中心の出題に変わるのでしょうか。こればかりは分かりませんね。ただ、もし総論から出題されるのであれば、2008年に出題された共謀共同正犯と射程の問題をさらに難解にした「共謀の射程」を考えさせるもの、あまり学生にはなじみが無いと思いますが、「作為犯と不作為犯の共同正犯」、折衷的相当因果関係説では記述しにくい「因果関係」を論じさせるもの、実行行為が終了したか否か不明な事例を題材とした「中止犯」、複雑な「間接正犯」の成否を問うもの、新傾向として「教唆犯、幇助犯」中心の出題が怪しいのではと、考えています。
まあこれはあくまで予想ですから、はずれる確率のほうが高いと思いますが、今、挙げた分野はどれも重要で、学習を深めておくべき分野ですから、学習者にとり目を通しておいて損は無いと思います。換言すれば、これらの分野は、学生がよく理解していない分野ですね。出題されれば、必ず差がつきます。一方、2年連続で各論からの出題ということであれば、これは予想がさらに難しくなります。しいて挙げるとするならば「詐欺罪」、「恐喝罪」、「業務妨害罪」、まだ一度も出題されていない「放火罪」、以前出題されて不出来だった「同時傷害の特例」は確認しておきたい分野でしょうか。
試験まであと約1ヶ月、受験生の皆さんにおかれては、健康に気をつけて更に御精進ください。

ギネスブックもびっくり!

6日土曜日、何気なく朝日新聞の朝刊に目を通していて、唖然とするできごとがありました。朝日を読まれている方でお気付きの方は、同様に驚かれたと思いますが、8面の法科大学院の広告特集にとてつもない誤植があったからです。なんと、数十校の法科大学院の院長の写真が掲載されたこのページで白鴎大学と中央大学の法科大学院長の写真が全く同一だったのです。まさかお名前が異なるのに同じ顔ということはありませんよね。又、いくら法科大学院の統合が叫ばれていても、院長の一人二役という話は聞いたことがありません。これにはたまげました。

誤植といえば、あまり知られてはおりませんが、昔、世界一の大誤植と評された本がありました。.川本三郎さんの翻訳本です。このケースでは、本に「訳・川本三郎」と記載されるところが、「誤訳・川本三郎」というふうに印刷されてしまったというのです。この誤植はギネス級ですね。何も丁寧に、誤訳とまでしなくてもいいと思います。しかし、今回の朝日の誤植もそれにまさるとも劣らないどえらい誤植です。なにせ、上下に並ぶ2つの大学の枠内に同一の顔写真が入っているわけですから。全国紙レベルでこんなことがあるんでしょうか。ありえない話ですね。
それにしても、校正という仕事は大変です。誤りがあり読者から苦情が届いて初めて、その存在が浮き彫りになる仕事ですからね。ミス無く正しい仕事をしていればその存在すら気付かれることはない。つまりできて当たり前の仕事なわけですね。その意味からすると、校正者には少し同情したくなるできごとです。

2013.4.4

花に嵐のたとえもあるぞ…

3月25日のこのコーナーで、“だいせんじがけだらなよさ”という寺山修司の詩を紹介しましたが、実はこの「さよならだけが人生だ」という言葉は、寺山修司のオリジナルの言葉ではありません。オリジナルなのは、彼が遊び心のある逆さ言葉にしたところだけですね。この含蓄のある「さよならだけが人生だ」という言葉は、正確には、井伏鱒二の<花に嵐のたとえもあるぞ、サヨナラダケガ人生ダ>という、唐のある詩人の邦訳に由来があるのです。本日の朝日新聞の天声人語にもその経緯が詳しく書かれていますね。偶然でしょうか。もしお時間がありましたら、皆さん目を通しておいてください。
4月になり、皆,新学期であわただしい毎日を送られているのでしょうね。私は、現在、目前の2冊の新書の執筆におわれています。ただ、2月まで書いていた刑法の論文と比べかなりやわらかい内容なので筆の進みが滑らかですね。余裕も少し出てきて、思索にふける時間もできたので、新しい刑法理論について構想を練りながら、様々な日々の仕事をこなしていこうと思います。



2013.4.2

古書店が減少し、ラーメン屋が増加…悲しい本郷三丁目

このコーナーでも何度かお話してきた刑法の長大な論文ですが、文献・判例解読に約6ヶ月、執筆に約2ヵ月半、校正に約1ヶ月という時間がかかりましたが、何とか3月末に完成し、4月1日に出版社に提出致しました。ギリギリではありますが、約束の期日に原稿を間に合わせました。

この日は気分転換にと、ゆったりと丸の内線に乗り、本郷三丁目で下車、東大正門近くの出版社で打ち合わせ後、近隣の古書店で古い刑法の文献を探しました。しかし、東大周辺も随分と様変わりしましたね。昔、よく通っていた古書店がいくつも消え、ラーメン屋が随分と増えているのには驚きました。

今日、ぶらりと歩いた感覚では、何となく東大周辺もアカデミックな雰囲気が消えつつあります。これはとても残念なことです。学術が食にとってかわられてしまうとはねぇ。時代の変遷でしょうか。
ところで刑法の長大な論文は、共著のため、他の執筆者の原稿がすべて揃った時点で順次刊行となるそうです。

先はまだまだ長そうですね。




2013.3.25

“だいせんじがけだらなよさ”(寺山修司)

3月17日の日曜日は、法科大学院の未修1年生のゼミの最終日でした。
この日は、複数の最高裁判例、下級審判例をもとに作成した長文の刑法の問題を検討しました。
いつものごとく、まず私が全体の流れや理論面を解説して、その後学生からの質問に一つひとつ答えながらゼミを終えました。ただ、この日は特別な意味がありました。未修1年生へのゼミとしては、私にとり最終講義だったからです。どこで終わりを告げるべきか。味わったことのない不思議な重たい空気が流れていました。「じゃあ、皆、元気で…」とそっけない挨拶をして立ち上がろうとすると、12人のゼミ生のうち2~3人が部屋からスッと消え、30秒ほどして「先生!」という大きな声とともに再び部屋に現れました。一人の手には花束、一人の手には大きなシフォンケーキとクッキーが持たれていました。

「一年間、ご指導本当に有難うございました」
これって“どっきりカメラ”ではないのだろうか。私は予期せぬ出来事に驚きを隠せませんでした。何故なら、これまで3年も4年も指導してきた学生からもこのような手厚いおもてなしを過去に受けたことがなかったからです。
私は自分を省みました。この一年間、私は「ゆとり教育世代の子どもたちはどこか私の常識とズレがあり、扱いが難しいな」と心のどこかで感じていたからです。ところが、そのように感じていたこの学生らがまさに、私の心に一本のろうそくを灯す子どもたちだったのです。

もう一つの別れの話、それは3月24日の未修2年生との別れの話です。彼らとは、1年生の頃から2年間、悲しみも苦しみも共有し合えるような、家族のような付き合いをしてきました。思い出されるのは、2年生の前期の6月の出来事です。土曜日の昼下がり、2階の補助講師室の前の廊下に何名かのゼミ生が落ち着きなく佇んでいました。「どうしたの」と聞くと、どうしても私と話がしたいというのです。聞けばなんでもないことなのです。「ここのところお会いしていないので、すっかり元気がなくなってしまった。どうしたらいいか」、というのです。私は“猪木”なのだろうかと思いつつ、彼女らと30分ほど言葉を交わしました。やり取りの中で元気をもらったのはむしろ私のほうでした。教師というのは、こういう何気ない学生からの言葉が一番心に沁みるものなのです。
2年生の前期は、学生らが訴訟法を学ぶ時期ですから、この時期、私は1年生を中心に刑法の5つのサブゼミを持っていました。私の心は彼女らの方を向いていませんでした。しかし、私がよそに出かけている間に、彼女たちはとても淋しい思いをしていたのだと感じました。と同時に、私に人の心を元気にする源泉など本当にあるのだろうか、と思ったのも事実です。

今回は、そんな彼、彼女らへの最終講義です。いつものようにつとめて元気を装いましたが、雰囲気的には、勉強どころではないですね。そして、2時間半のゼミを終えると、真心のこもった素敵な寄せ書きを頂きました。その後、皆で記念撮影をし、さらに、未修の3年生1人を加えた8名と、ひとり1人ツーショットで写真を撮りました。この写真が司法試験の合格のお守り代わりで、これから試験まで机上に飾るのだそうです。私の写真がお守りになるのかどうかは疑問ですが…。

「会うは別れの始まり」とはよく言ったものです。会えば、必ず別れが来るのですね。
でも、それが人生なのだと思います。


“だいせんじがけだらなよさ”
“だいせんじがけだらなよさ”

さかさに読むと、あの人がおしえてくれた……



2013.3.23

刑法とアール・クルー

前回は山崎晃嗣の数量刑法学について述べましたが、これは夢の世界ですね。同時に、可罰的違法性論で、そもそも違法性阻却の前に構成要件該当性が否定される「絶対的軽微型」なるものが、ネクタイを2、3度引っ張る暴行であるとか、全治5日以内の傷害であるという議論も私には虚しい話に聞こえてしまいます。
だからといって何らかの数量的な基準がないと、構成要件該当性、違法性を論じる場合の指針が何らないわけで、相応の客観的基準を探らねばなりません。

まあ、こんなことばかり考えていると、夜も更けてくるわけですが、明日も朝が早いので、アール・クルー、「ワルツ・フォー・デビー」とmihimaru GT (HIROKO)とsoweluの歌う「部屋とYシャツと私」でも聴いて寝ることにします。soweluは色白でホラン千秋に似ていますね。2人の顔を見ていると、丸山薫の詩を思い出します。
「汽車に乗ってアイルランドのような田舎へ行こう」という気分になりますね。

それにしても数量刑法学とアール・クルー、HIROKO、sowelu、つながりませんねえ。 


2013.3.21

違法性の数量化?

刑法の違法性の実質について行為無価値二元論に立ち、更に社会的相当性説をとると、行為が社会通念上相当な範囲内にあるという概念をどこまで客観化できるかが重要な鍵となります。
私は、治療行為やスポーツなどの範躊においては、その客観化は可能と考えていますが、世の中で起きている様々な事件を対象とすると、行為者の行為が違法であるか否かの分水嶺は、なかなか明確に客観化することはできません。数学のように数式化することはできないのです。

三島由紀夫の「青の時代」を読むと、光クラブ事件の山崎晃嗣(あきつぐ)は、東大法学部時代に数量刑法学(私から言わせると、これは数量量刑学ですが…)なる概念を導入しようとしたとのことですが、荒唐無稽ですね。同様に、私がこの数ヶ月間研究を続けてきた可罰的違法性の存否の基準も、数量化することは難しいと思います。人間の感情が強く要素として絡んでくる以上、いきおい、客観化は難しくなってしまう。1年間、この問題だけ考えなさいと、特命でもでれば研究し、ある程度の成果がでるのでしょうが、それでも難しいでしょうね。ところで、この問題は一般の方にも興味のある事柄と思われますので、いずれ、新書の中で展開してみたい内容だと思いました。題して、「犯罪と非犯罪の間」。何やらどこかで聞いたことのあるタイトルですね。ただ、トータル何千もの判例を研究してきて、それを法曹界だけの情報としてしまうのはもったいないというのがその理由です。どこかで、この情報を一般社会と共有できないかと考えています。まあ、この問題に関してさらに研究を積まねばなりませんが。

2013.3.17

サプライズ

休みなく論文を書いたり慶應法学部の論述力(内閣総理大臣のリーダーシップ)の解答に取り組んだりしていたからでしょうか。金曜日から体調を崩してしまいました。

ただ、(土)(日)は法科大学院に出講しなければならず、無理をしつつ出講しました。でも今日は大学院に出て良かったと思います。それは、私の心に一本のろうそくが灯るようなできごとがあったからです。
詳細は後日お話します。



2013.3.9

週刊現代の取材

先日、明治大学広報課を通じて週刊現代編集部より取材の依頼がありました。
東大についての企画ということで、数日前に編集部の記者の方にお会いして1時間弱お話をしました。しかしながら、誌面に登場するのはたったの数行。テレビにしても雑誌にしても、ムズカシイものですね。
来週の月曜日に発売だそうです。
今日は法科大学院に出講。未修2年生のゼミと未修3年生のゼミをこなしました。明日も日曜出講で早朝から未修1年生12名のゼミがあります。違法性に関する論文の最終校正も峠を越え、少しずつ一般書を書く自由な時間ができつつあります。現在進行中の書籍は全部で8冊。昨年から取材進行中の新書に関しては早期の出版を目指して原稿を進めようと思います。


2013.3.7

法律学の奥の深さ

博士のお仕事日記を1月29日に更新した後、またまた1ヶ月以上が経ってしまいました。理由は様々ありますが、とにかく、忙しかったのです。
まずご報告ですが、前回の日記にも登場した刑法の長大な論文はなんとか2月の上旬に書き上げました。しかし、この後の作業である論文の校正がスゴイ。なんと言ってもラテン語の文献を含めかなりの数の文献を引用しましたから、その引用部分を再び詳細にチェックしつつ正しいかどうかを検証しなければならなかったからです。
判例も明治時代のものから現在のものまで、ざっと1500ぐらいは検討しましたので、その中で実際に引用した判例の年月日、事案の内容を一字一句チェックせねばなりません。週に3日法科大学院に出講する以外に休み無く約3週間はこんなことばかりやっていましたから、背中が張ってしまって、亀の甲羅のようになってしまいました。ただ、この仕事は私の人生にとり意義のあるものでした。
そして、又、このたびの研究の結果、多くの謎が残りました。学問というのは、学べば学ぶほど謎が増えるものですね。これはよく考えているからこうなるのでしょうか。それとも私の考えが足りないからでしょうか。分かりませんね。兎に角、法律学の奥の深さに圧倒されています。これから1ヶ月間は自説である「社会的相当性」説(これが謎です)とは何であるかを1日1時間は考えてみようと思います。こう書きましても一般の読者の方には何のことだか分かりませんよね。申し訳ありません。
次回はもう少し普通の話をいたします。


2013.1.29

論文作成の終盤に思うこと

 11月中旬から1月にかけて、違法性論に関する刑法の論文の仕上げに週3日間は完全に時間をとられており、「博士のお仕事日記」を全く更新できませんでした。申し訳有りません。その長大な論文もいよいよあと数日で完成しそうです。ですから、いよいよ他のことをする自由な時間が持てるようになります。
 それにしても、この淋しさは一体何なのでしょうか。毎日そのために机に向かっていたわけではありませんが、文献解読に6ヶ月、執筆に実質2ヶ月半(期間としては5ヶ月)かかった今回の論文ですが、この感覚は55万字の博士論文を書き上げた時の感覚と似ていますね。これは言葉には表せない不思議な感覚です。論文作成のプロセスはワクワクしてとても楽しいのですが、完成してしまうと私の手を離れてしまうので妙に物悲しいのです。どこからかAuld Lang Syne(オールド・ラング・サイン)の調べが聴こえて来そうです。

ところで、ここ数日、大学院生から刑法の質問がメールで2点寄せられていますが、解答が書けていません。内容はカンタンなのですが、入力するのに時間がかかりますからね。論文が終了次第、略解をメールしますので、今しばらくお待ちください。

2012.11.8

新書を書きたい、ウナギを食べたい

このところ一般書をなかなか刊行できないでおりますが、この数か月の間に、出版社からお話はいくつか頂いているのです。
とくにこれまでに4冊刊行して、1冊を除き、3冊が増刷(22刷、2刷、2刷)になっているPHP新書は、ここのところ毎年1冊は刊行しているという感じです。
ちなみに、3冊目の増刷は2刷といっても初版が20000部ですから、一般の作家なら5刷というところでしよう。
PHP新書で現在予定されている新刊は、内容は㊙ですが、やはり子どもの勉強に関するもので、養老さんなども担当している私の担当者から提案を頂きました。現在鋭意取材中で、約2か月前の9月11・12日に大阪で取材を開始し、その後東京で2人取材をし、さらに東京で複数名の取材を予定しております。この他に、一般書が1冊、医学部ものが3冊、ロースクールものが1冊ありますが、まだ手付かずです。今日も少し執筆したかったのですが、 明日朝7時15分から法科大学院未修生7名の刑法サブゼミがありますので、共謀共同正犯理論について、判例最決平19・11・14集61巻8号757頁のレジュメを入力、作成せねばならず、現在のところ一行も書けておりません。ただ現在執筆している刑法の論文も峠を越しましたので、そろそろ、一般書と併走という形で、進めることが出来そうです。
それにしても、このところ1日に百ぐらいの判例全文に目を通しておりますので、かなり目が疲れてきました。これだけ、目を酷使すると、肝油ではリカバーできません。本当はウナギがいいのでしょうが、高くて食べられません。残念!

2012.10.31

この2カ月間、「博士のお仕事日記」を更新できずにすみません。
言い訳していいわけないのですが、ここのところ
とてつもなく忙しく、とても更新できる状況でありませんでした。

最近のスケジュールを少しご紹介すると、(金)、(土)、(日)は明治大学法科大学院教育補助講師室に出講し、(金)は、2年生のグループと3年生のグループに刑法サブゼミ、更に既修生1名に起案指導をし、(土)は既修2年生のサブゼミと1年生のサブゼミをこなし、(日)は1年生のサブゼミを2つこなしたあと、既修2年生と未修2年生に刑法演習の予習の指導をしています。

勿論、空き時間にも複数の院生が訪ねてきますので、この2年間昼食や夕食をまともに大学で食べた記憶がありません。先週の昼食時間はほとんど1分。大心堂の雷おこしをほおばり、オランジーナを飲んだだけでした。
尚、(月)~(木)はおおむね12時間、自宅にて、積めば天井の高さの1.5倍はある論文、書籍を読み込んでは、刑法の論文を書くか、学生の答案を読んだり、サブゼミのレジュメを作成しております。

おそらく、12月の末には刑法の論文もひと段落すると思いますが、それまでは辛抱の日々が続くでしょう。くれぐれも石にならないように気をつけます。今日も、机の前に座り続け6000字程度原稿を書きました。明日も早朝から学生の答案を読み、刑法のレジュメを作成します。出版社からいくつか一般書の校正も届いておりますが、全く読めておりません。従いまして、なかなか本が出ません。あしからず。

2012.9.1

「窃盗犯と正当防衛」の論点は、法科大学院生にとりとても興味深いものなのでしょうか。8月28日にターゲブーフで示した1~3の質問以外に、先日私が指導に参加しているサブゼミで次のような質問が院生から寄せられました。

<事例>
Xは侵入窃盗をするため、資産家宅に、木刀を持って侵入した。そして、廊下を歩いていると、その侵入に気づいた資産家Yが廊下の壁にかけてあった猟銃を構え、Xに「コラッ!出て行かないと撃つぞ!」と脅迫した。Xがなかなか退散しないので、そのままYが猟銃を構えていたところ、Xの侵入に狼狽したYは我知らず猟銃の引き金を引いてしまった。そして、その弾がXに当たりXは死亡してしまった。Yの罪責や如何に。

これなども、8月28日のターゲブーフに示した「盗犯等の防止および処分に関する法律」で処理すれば何も問題ないのですが、刑法の処理としては一つ一つ構成要件該当性、違法性の順に検討することになります。

解答の一例を示すと、まずYが猟銃を構えてXを脅迫した行為は、脅迫罪の構成要件に該当するでしょう。しかし、状況が状況ですから、正当防衛として違法性が阻却されます。また、我知らず猟銃の引き金を引いてXを死亡させた点は、過失致死罪の構成要件に該当し、正当防衛として違法性が阻却されると考えます。
サブゼミで、この問題を提示した院生は、なかなか良く勉強している人だと思います。

何故なら、私は気づかないふりをしておりましたが、この問題は、「現代刑法理論の現状と課題」(川端博著・成文堂)で取り上げられている論点ですからね。
司法試験の論文も、よく練られたものが出題されるようになりましたので定型的ではない「自分の頭で良く考えて」解答する力が現在は要求されているのだと思います。

2012.8.29

家で寝ていても、住居侵入と窃盗には、問擬される!?

昨日の話の続きですが、Zには果たして占有離脱物横領罪しか成立しないのでしょうか。私はそうは思いません。通常、承継的共犯と言うと、先行行為者が強盗致傷などをした後に後行行為者が関与するケースが教科書等には代表的論点として掲載されておりますが、私は本問のようなケースも承継的共犯の適用場面であると考えるからです。本問で、Zはそれまでの詳しい経緯をⅩから聞き、Xの先行行為を積極的に利用して資産家宅に侵入して金を取っています。そしてそうである以上、たとえZが人を死亡させた以外の第三者であろうともXの行為や結果を自己の犯罪遂行の手段として、積極的に利用しているのであれば、住居侵入と窃盗の範囲で責任を負うと考えるのです。結論として、Zには住居侵入罪と窃盗罪の共同正犯が成立すると考えます。ここでご注意頂きたいのは、XとZは資産家とその息子の「死」という反抗抑圧状態を一見利用しているように見えますが、XにもZにも当初から強盗の故意はありませんので強盗殺人は適用されないという点です。この点、少なくともXは当初より拳銃を所持しており強盗殺人でも良いのではないかとの反論があるかもしれませんが、私はそのようには考えません。それは、Xの拳銃所持の理由が不明だからです。

最後に3の問題ですが、本問は決定的に重要です。
まず、Xの行為が仲間のYによる提言という点に注意を払わねばなりません。
Yは資産家宅に大金が保管されていること、また、家の中の間取りを熟知しており、詳細な見取り図を作成し、逃走経路などを記入して前もってXに手渡しています。
つまり、住居侵入と窃盗を実現する上でとても重要な役割を担っているわけです。
このように共謀者が極めて重要な役割を果たしているケースでは、実行の着手前であろうと、共謀者は共犯(共謀)関係から離脱不可能です。
私は、よく学生に、共犯からの離脱で着手前、着手後とよく2分類するけれど、この分類はあまり意味がないのではないかと話しています。何故なら、本件のように、共謀者の一人が極めて重要な役割を担っている場合は、たとえ実行の着手前であろうとも、共犯者に離脱の意思表明をし、当該了承を得るだけでは、離脱などできないからです(もっとも本問のYの行為にはそれさえ認められません)。重要な役割を担った者は相互利用補充関係の解消、あるいは因果の切断の観点から、結局、積極的な回避措置、回避行為が必要となるのです。これでは着手前であろうとも因果がすでに進行している着手後の離脱の要件と何ら変わらなくなってしまうからです。
さて、本問で言うと、重要な役割を担ったYが、携帯電話で一方的にXに連絡して、自らが犯行から降りると伝えただけでは、何ら離脱の効果など生じません。XとYは、住居侵入と窃盗の共謀をしており、Yには「共同実行」と評価しうるだけの共謀関係が認められ、Yには正犯意思もありますので「共謀共同正犯理論」により、Yが何ら実行行為をせずとも、60条にいう「共同して犯罪を実行した」と言えると考えます。従いましてYにはXが1回目に侵入した住居侵入罪のみならずXがZと共に侵入した2回目の住居侵入罪も成立し、さらに2回目の侵入時の窃盗罪も負うことになります。Yに住居侵入罪が2罪成立する点は意外と見落とす人がいると思いますが、ここは肝ですね。2回目の住居侵入罪は共謀の射程外であるとの主張もあるでしょうが、時間的場所的接着性を考慮しますと成立させることが妥当でしょう。他方、資産家に対する殺人などは共謀の射程外であり、Yは問責されません。この問題は少し関連の話をしておく必要がありそうですので、明日以降、更に続けます。

2012.8.28

窃盗犯に、正当防衛は成立するか?

長い間、このページを更新できずにすみません。
このところ、刑法の研究に没頭しており、原稿自体は8月の初旬に入力済みでしたがアップが遅れました。
さて、今日は、8月の初旬に法科大学院の院生から質問の多かった、1「窃盗犯人と正当防衛」、3「共謀の射程」、2「殺人行為後の承継的共犯」についてお話します。3つの質問の内容は概略以下のとおりです。

1 
ある資産家宅に留守と思い窃盗犯人Xが侵入します。
ところが、意外にも資産家の主人が在宅で、不法侵入に驚愕するとともに
「貴様、ドロボーか、殺してやる」と叫びながら、
ナイフでⅩに切りかかります。窃盗犯人Xは身の危険を感じ所持していた拳銃で
主人の心臓を打ち抜いてしまう。さて、Ⅹの罪責や如何に。
さらに、その弾がたまたま主人の背後に居た資産家宅の息子の下肢を直撃し、
その息子が血友病を患っていたため出血が止まらず
死亡した場合はどうなるか。


意に反して主人とその息子を殺害する結果となったXは、狼狽し、
何も盗らずに外に逃走しますが、そこで友人のZと偶然出くわします。
Zは、Xからこれまでの詳しい経緯を聞き、
Xが何も盗らないで逃走してきたのを勿体ないと感じ、
再度資産家宅に侵入し、金を盗もうと提案します。
そしてXとZは、資産家宅へ侵入し、金を見つけ盗み出し
その後、金を2人で山分けします。


以上のXの行為はもとをただせば、仲間のYの提案によるものでした。
Yは資産家宅に時折出入りしており、資産家宅に
大金が保管されていること、また、家の中の様子も熟知しており、
詳細な見取り図を作り、逃走経路などを記入して、
あらかじめXに渡していたのです。
当初は、YもXとの共謀のもと、当日資産家宅へ侵入し、
金を盗むつもりでしたが、犯行当日、Yは突然携帯電話で
「俺は気が変わったので今日は行かないから、お前一人でやるならやれ」
と一方的に連絡して電話を切りその場に現れませんでした。

さて、X、Y、Zの罪責はどうなるのか、というものです。
大変興味深い内容で、質問してくださった
複数の院生に感謝致しますが、この1から3の問題に内在する事柄は
整理すると以下のようになると考えます。

まず1ですが、Xの資産家に対する行為は果たして正当防衛に、又、息子には緊急避難(あるいは正当防衛)が成立するのか、ということです。
あくまで私の見解ですが、資産家やその息子に対するXの行為は正当防衛などにはならないと考えます。
また、特別法を考慮した場合、Ⅹの行為を正当防衛とするのはバランスが悪い
というのが私の感想です。

昭和5年の法律9号である「盗犯等の防止及処分に関する法律」1条は、刑法における正当防衛の要件に関する特例を設けているからです。つまり、その一項で、a「盗犯を防止し、または盗贓を取還せんとするとき」(1号)、b「兇器を携帯してまたは門戸牆壁等を踰越損壊し若は鎖鑰を開きて、人の住居または人の看守する邸宅、建造物若は船舶に侵入する者を防止せんとするとき」(2号)、c「故なく人の住居または人の看守する邸宅、建造物若は船舶に侵入したる者または要求を受けてこれらの場所より退去せざる者を排斥せんとするとき」(3号)の3つのケースでは、「自己または他人の生命、身体または貞操に対する現在の危険を排除するため、犯人を殺傷したるときは、刑法第36条第1項の防衛行為ありたるものとす」と規定するからです。この規定の意義については、解釈に争いがありますが、abcに該当するケースで正当防衛が成立するという点には、争いがありません。

ただ、院生が質問してきた刑法の問題は、一般に特別法違反の点は除き、刑法の解釈のみでこれを処理する趣旨でしょうから、刑法の視点から考察を加えますと、正当防衛の要件を備えた場合に行為は違法ではありませんが、たとえ形式的にこの要件を備えていても行為の全体を評価して、社会的相当性を欠く(あるいは権利の濫用である)場合は違法性を阻却しないと、私は考えます。代表的な事例を挙げると、たとえば防衛者が故意に相手方を挑発し、そのために誘発された侵害に侵害の目的で反撃をするような場合です。
いわゆる自招侵害と正当防衛の事例ですね。
ただ、本件は相手方(資産家の主人)をからかう、侮辱するなどの行為がありませんので、ここに言う代表的な自招侵害と正当防衛のケースとは異なります。
しかしながら、Xは、窃盗の目的で資産家宅に侵入しており、自ら違法の目的で行為をし、驚愕した資産家の主人からナイフの攻撃を受けるに至っており、違法な行為により自ら正当防衛状況を招いていると言えるのです。
外を普通に歩いていたところ、突然見知らぬ男からナイフで心臓を突き刺されそうになったので、とっさに所持していた拳銃で応戦したというようなケースであれば、正当防衛となるでしょう(ただし、銃刀法違反では問擬されます)。しかし、このケースと本件は異なることに気付かねばなりません。もし、仮にこのような状況で窃盗犯に正当防衛が成立するとしたら世の中どうなるのでしょうか。極論すると泥棒に入っても、危険な状況であればどのような反撃をしても良いということになりかねません。この帰結はなんとなく妥当性を欠きますね。結論として本件のXには違法性阻却は認められず、資産家の主人に対する殺人罪、息子に対する殺人罪(因果関係を認めないなら殺人未遂罪)の罪責を負うというのがひとつの解答の道筋です。よしんば譲歩しても過剰防衛でしょうね。
基本的な論点ですが、息子の致死結果については客観面では因果関係、主観面では殺人の故意が認められるか(阻却されないか)、故意の個数の議論も内在しています。

次に、2の検討です。
他に生存の家人が居るのかどうか不明ですが、資産家宅に死者しか居ないと考えた場合この家は住居といえるのか、換言すれば2人は住居権者といえるのか、また死者から金を盗ることは、窃盗にあたるのかどうかが問題となります。
死者の占有については、Aもともと金品を取ろうと思って客体を殺し、その懐中から財布を盗るというような強盗殺人の場合、B人を死亡させたのち、初めて財物奪取の故意を生じたような場合、C人を死亡させた以外の第三者が、死者の物を領得した場合の大きく3つの場面で問題となります。
判例はBのケースについて、生前の占有は死亡直後はなお保護に値するという理由と殺害行為により占有を失わせ、その結果を利用して取ったという二つの理由から窃盗罪の成立を認めます(最判昭和41年4月8日)。この考え方にたてば、本件については、被害者の生前に有した占有が、被害者を死に致らしめた犯人との関係では、被害者の死亡と時間的・場所的に近接した範囲内にあるかぎり、なお刑法的保護に値するとして、窃盗罪を認めるのが妥当と思います。又、本問のようなケースで資産家宅の住居性も直ちには失われないでしょう。

以上述べてきたことからすると、Xについては住居侵入罪と窃盗罪の成立を認めて良いと考えますが、Zはどうでしょうか。上の類型によれば、窃盗に関してはZは人を死亡させた以外の第三者に該当し占有離脱物横領罪しか成立しそうにありませんが、果たしてどうでしょうか。興味深い問題ですが、続きは明日以降、お話します。

2012.7.28

外は34℃、「違法論」を研究する日々

ここのところ、大学に出講していない日は
刑法の論文を広尾の都立中央図書館でコピーしたり、
そこにお目当ての文献がない場合は
国立国会図書館でコピーしたりと、
とても慌しい毎日を送っています。

コピーを取った翌日は、涼しい部屋で
一日中文献を斜め読みするという日々ですね。

ただ、研究生活は、とても意義があります。
8月から10月にかけて「違法論」に関する
短い論文をまとめるのですが、
先人の研究者の足跡をたどりながら、
それに自分なりの新しい解釈を加えていく作業は、
とても刺激的です。

そして、また、自身の勉強不足にも気づかされます。
現在は「違法論」全般の研究の他に、財産的権利を保全するための
正当防衛について最高裁平成21年7月16日判決を素材に
考察を加えています。

2012.6.11

「可罰的違法性論」の研究は、体中がかゆくなります

今日は、私の本業の「刑法」についてお話します。

いつも、このオフィシャルサイトで
子供の教育論などを話している私ですが、
私の本業、専門は「刑法」です。

現在は、月曜、金曜、土曜、そしてときどき日曜、
週3日ないし4日は、お茶の水の明治大学法科大学院で
新司法試験を受験予定の学生らに「刑法」の
ゼミを組んで指導をしています。

これは教育者としての一面です。
一方、現在は出講日以外の火曜、
水曜、木曜、日曜は主として「違法論」に
関する論文、書籍に目を通しています。

先週から今週にかけては、
「可罰的違法性」に関する100以上の
論文・書籍に目を通し、1600位の判例、
裁判例について分析整理しました。

その過程で一番困ったのは、古書を読む作業です。

水道橋の丸沼書店で1982年刊行の
前田雅英著「可罰的違法性論の研究」(東京大学出版会)
を購入し、以前から書棚にあった1975年刊行の
藤木英雄著「可罰的違法性」(学陽書房)などを
斜め読みしましたが、前田教授の著書は書店の倉庫に
長い間保管されていたらしく、読み始めたら体中が
かゆくなり始めたのです。

虫でもいたのでしょうか!?

とりあえず、一度日干しにして、また読み進めていますが
学問の研究というのは、社会的意義があると同時に、
耐久レースという側面があります。

机に座り、1日じっと論文、書籍に目を通しているのですから、
これは好きでないと続きませんね。

今週の後半からは、「消極的構成要件要素の理論」
「超法規的違法性阻却」に関するこれまた50ぐらいの論文に目を通す予定です。
そう言いましても、一般の方には何のことだか分かりませんよね。スミマセン。

いずれにしましても、
受験に関する一般書を書く横顔とは別に、
私には本業とである刑法の研究者としての
横顔があるということを
お伝えしたかったのです。

いわば、一般書を書く私は、「巨人の星」で言えば佐門豊作です。
現状は、花形満のように身軽ではないので、
大リーグボール1号を打ち返す
秘密特訓に集中することはできないですからね。



2012.6.3

「爆笑!大日本アカン警察」第二弾放送!



 フジテレビの番組ホームページによると、
「フジテレビ佐野アナウンサーは、
後輩伊藤アナウンサーに嫉妬しているんじゃないのか?
完全決着編」
が、ようやく今夜6月3日に放映されるようです。

この第2弾は、5月15日の
博士のお仕事日記」にも記しましたが、
4月26日にフジテレビで収録されたものです。

当日は約1時間収録に立ち会いましたが、
6月3日の放映時は5秒間くらいしか
顔を出さないかもしれません。
いや、出演は3秒くらいかもしれません。

残念!! でもテレビとはそのようなものです。
皆さん、お暇がありましたらご覧下さい。

ただ、この日は他局でサッカーワールドカップ
最終予選、日本VSオマーンが放映されるようで、
視聴率はアカン! かもしれません。

2012.6.2

勉強しろと言わずに子供を勉強させる法が
中央大学の入試に出題されたそうです


先日、一般社団法人日本著作権教育研究会というところから
A4大の茶色の封書が届きました。
中を開けてみると、学校法人中央大学名で、
「著作権使用のご報告」と題し、
2012年度の入学試験において、小林公夫著
「「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法」を
使用した旨報告しますと、記されていました。

どうやら、2012年度外国人留学生入学試験で
使用されたようです。

一応、私も問題にチャレンジ。
カンタンな穴埋め問題でしたので
勿論全問正解でしたが、2004年に出版した
「論理思考の鍛え方」(講談社現代新書)が
入試で出題された時は驚きました。

本書は、2005年の春に獨協大学の国語の入試問題、
その後、嘉悦大学の国語の入試問題として
出題されましたが、著者である私が取り組んでも
歯が立たない設問があったからです。

「著者

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