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博士のお仕事日記(8/17更新)

博士のお仕事日記 ~つれづれなるターゲブーフ~

合格請負人としてますます努力します

昨日、今年の司法試験の合格報告についてお知らせしましたが、その後また追加で合格報告がありました。メールの概要をお知らせします。

ご無沙汰しております。
司法試験に合格しました。

昨年は不甲斐なく先生に連絡差し上げれず、申し訳ありませんでした。
やっと、やっとスタートラインに立てます。一年生からの小林先生のご指導がなければ、勉強の仕方もわからず挫折していたと思います。本当に小林先生と出会えたことがこの合格につながっています。
本当にありがとうございました。

                      修了生 A.M

この学生も2年間みっちり小林ゼミで指導した生徒ですね。
桜美林の公開講座でも指導しました。法曹界は厳しい現状がですが、立派な弁護士になってほしいと思います。

それにしても、今年の合格報告は2人とも女性でした。
男性陣はどうしたのでしょう。



嬉しい合格報告

今日、9月8日は司法試験の合格発表の日でした。すでに2名の方から連絡があり、1人は不合格でしたが、1人は合格したそうです。
法科大学院で2年間みっちり刑法を教え、その後桜美林の研究所主催の公開講座でも指導した生徒です。
合格メールの内容をほぼそのままお知らせします。

小林先生
無事に合格しました!
小林先生には大変お世話になり、本当に有難うございました。
合格できましたのも先生に教えて頂いたおかげです。
また改めましてご報告をさせて頂きます。

                   修了生 TW

だいぶ時がたちますが、いつまでもこのように言って頂き嬉しい限りです。
今月は、他に難関入試を受験している教え子からも合格のメールが届きそうです。
合格請負人として、さらに頑張らねばなりません。

読者から届いたメール

8月15日に東洋経済オンラインに「ひらがな」で生物入試の解答を書かせる帝京大学医学部の話を紹介した。すると意外なことに読者の方から1通のメールを頂戴した。以下その内容を概略で記す。

 30数年前、帝京大学医学部の受験をしました。幡ヶ谷の短大校舎だったかな。
 ペーパーテスト直前、理事長が教室視察にたまたまおいでになったのですが、その時、質問は何かないかと試験官が受験生に声をかけたとき、1人の生徒が「わからない漢字はひらがなで書いてもいいか」と尋ねたのです。理事長にとっては、最高にがっかりした瞬間だったのではないかと、思いをめぐらせたものでした。
 帝京大学医学部の受験でひらがなの答えを要求されるという文章を拝見して、思わず昔話を思い出しました。失礼いたします。

 短く、何気ないメールだが、30数年も前の自らの入試の体験をお知らせ頂いたことに、私は感謝するとともに返事のメールを書いた。
 送信者は、おそらく自らの受験時のことが懐かしく思い出されたのだと思う。そのぐらい医学部受験は大変で思い出深いものなのだろう。
 受験というのは人間にとって越えねばならない壁であり、忘れられない体験なのだとも思った。

 今回の記事は、結論が明確になりやや長い内容になってしまったが、私が書いた軽く短い記事に読者の方が反応してくださり、直接感想をお聞かせいただいたことがとても嬉しかった。なぜならば、それはその人の人生の断片にわずかだが触れることができたからだ。

フル回転の夏!!

本が売れない時代で、出版業界、取次業界は戦々恐々としていますが“学びの本”は調子が良いようで、教学社の「医学部の面接」、「医学部の実践小論文」は、2冊同時に増刷が決定いたしました。

また、TSUTAYA BOOKS 就職ジャンルでNO1に輝いた高橋書店の一般常識の本は、6月に新刊が発表され、また、来年の1月にも新刊が出版されることになりました。

なかなか忙しいところですが、のんきに構えてはいられません。今年の1月から頼まれている某出版社の「医学部受験の新書」もそろそろ仕上げねばならないからです。

東洋経済オンラインを見られた銀座のハイカラな出版社からも出版の依頼があり、頭はフル回転の夏になりそうです。


究極の難問

明日公開の東洋経済オンラインは東邦大学医学部で出題された難問を取り上げます。

何十年にわたる受験指導歴で、私が日本一の難問と位置づける問題です。是非ごらんの上、回答にチャレンジしてみてください。

皆さんならば、どういう回答を考えるでしょうか。


今や、英語力は医者に必須

今日は、締切りから約1週間になる、赤本の国立大学医学部後期試験の医学英論文の解答を書きました。私の第2の専門分野である分子遺伝、分子生物に関する英論文だったので、比較的スラスラと訳せ2時間ほどでA43枚分の和訳を完成させました。全ゲノムシークエンスに関する出題で面白い内容でした。

この某国立大医学部は偏差値72の大学ですので、それなりに大変なのは分かりますが、この問題に高校生が取り組むのはかなり大変です。やはり子どもの頃から語学力はつけねばなりませんね。明日はまた、東大レベルの英文を学生と読みますが、英語は予習を全くしませんので、これから東洋経済オンラインの原稿でも書くことにします。

東洋経済オンラインは、7月3日(木)はお休みしましたが、7月10日(木)は掲載されます。次回は、私が日本一の難問と称している東邦大学医学部の2次試験の過去問について論評しています。

是非、ご覧ください。


オンライン連載は未知の世界

先日、6月18日に公開になった東洋経済オンラインの記事、“出来る生徒は「ノートの取り方」が型破りだ”は、2ページものとしては異例の70万PVを達成したそうです。

何時間もかけて考えた記事が5万PVしかアクセスがなく、移動の電車の中で30分ほどで書いた記事がランキング1位で70万PVとは、なんだか狐につままれたような感じです。世の人々は一体何に興味があるのか、全く分からなく不思議だというのが本音です。

このオンライン、マスコミ人が多く目にしているのか、ここのところテレビ出演の話や本の執筆の話がチラホラ舞いこんでいます。

どうなりますことやら・・・。

現代日本執筆者大事典(第5期)に掲載されることになりました。

先日、日外アソシエーツという会社から連絡がありました。
なんでも私の経歴と作品などを、この5月に出版予定の「現代日本執筆者大事典(第5期)」に掲載したいとのことでした。この事典は現代日本を代表する作家、研究者、ジヤーナリストなどが掲載されるとの説明でした。
日外アソシエーツといえば、2000年初頭に出版された「現代日本人名録」には既に掲載されています。ただ、現代日本執筆者大事典の第4期版には残念ながら掲載されませんでした。おそらく当時の著書の数が少ないことや実力不足などがその理由と思われます。しかしながら、今回は研究の成果として発表した医学や法学の専門の論文や20万部を超える刷り部数を記録した新書などの存在が評価されたようです。
出版社の方から原稿提出を依頼されましたが、著書の数や論文の数が膨大であること、また、講義、研究、新書の原稿執筆などが立て込みまだ提出できていません。急がねばなりません。


元教え子からの合格報告

博士のお仕事日記」を長らく更新できず申し訳ありません。
私の現状を申し上げますと、かなり忙しい日々が続いており、落ち着いて文章を書くという状況ではありませんでした。ところでご案内が遅くなりましたが今年の司法試験は、2名から合格報告、5名から論文不合格の知らせを受けました。
5名については最後まで法科大学院で指導ができず、悔いが残りますが、非常勤職は5年が任期満了ですのでいたし方ありません。せっかくですので2名からの合格報告の一部を匿名で以下に紹介します。

「今年2度目の受験で司法試験に合格することができました。これも既習2年の入学時から1年間小林先生の熱意あるご教授のおかげと思っています。本当にありがとうございました。友人から、すでに補助教員をお辞めになったと聞いたのでメールでのご報告となってしまいました。お許しください」(T.Kさん)

「ご報告遅くなり申し訳ありませんでしたが、今年の司法試験合格できました!! 出来の悪かった私に、基礎から根気強く刑法のいろはを教えていただいたおかげです。実際、まだ成績は出ていませんが、刑法は得点源になったように思います」(K.Yさん)

以上のような内容ですが、K.Yさんはとても出来が良く謙遜されていますね。いずれにしても、教育補助教員をやめても多くの教え子から様々な報告を受けるのは嬉しいものです。
今年不合格だった教え子には是非来年の合格に向け精進してほしいと思います。


本が売れない時代

このコーナーを長らく更新できず、誠に申し訳ありません。とにかく今年は激動と波乱の年なのです。まずこの春がとてつもないスケジュールでした。2月から3月にかけて末期ガンを患う義理の父の終末期の看取りで、北海道の美瑛と東京を往復する日々を送りました。とても仕事どころではありません。その後の4月以降は、時代の情勢を見きわめ本の執筆から、教える仕事に本格的に移行しました。ここのところ桜美林大学の研究員の会合にも満足に出られない程忙しい日々を送っています。ほぼ毎日早朝から晩まで外出中です。医学論文2本と法律の論文の進行も止まったままです。その様な多忙な中、少しずつ本の執筆も進めており、大学生のための就職試験対策本と医学部受験対策本は動きがいいようですね。
先日、高橋書店の就職本は、30200部増刷になり、医学部ものは増刷部数は普通ですが、教学社(赤本)の「医学部の実戦小論文」、同じく「医学部の面接」が、それぞれ増刷になりました。大学生をはじめまだまだ小林のフアンがおられるようです。今、新しい新書や受験の単行本も企画されておりますが、書く時間が全くありません。医学の研究、法律の研究の他私のライフワークである分子生物学、発生生物学の研究に勤しむ今日この頃です。



    

新書を書くということ

最近出版した新書「公立中高一貫校」について、新潟大学の三浦淳教授(私と教授は面識はございません)が研究室のブログで御論評くださったので、このお仕事日記で、教授の指摘に対してお返事したいと思います。

まず、的確な御論評に頭が下がる思いがしました。何故なら、論評中、教授が指摘されている本書に対する注文は、実はこの本の出版時に編集者と2人で「どうしたものか」と頭を悩ませた点がまさに述べられていたからです。ただ、この御指摘には反論といいますかいくつかの正当な理由がありますのでここにお答えします。まず、4章と5章の内容が親子の違いはあるにせよ重複している点は、編集部の最終的な意向でこの形に落ち着きました。もともと子供の記述は、各章の末に分離してコラムとして掲載するとの了解を得た上で私は取材を進めておりました。しかし、ちくま新書という格調の高さもあるのでしようか、そういう構成的な編集は過去に例が無いようで、編集部の判断で4章、5章と繫がる形式となりました。この変更には頭を抱えました。この時点で、実は仙台の取材対象者には子どもの記述をすべて省いてもよろしいかと打診をしたのです。しかし、関係者との話し合いの過程で「子どもが本に出ることを楽しみにしているので省くのは忍びない」と説得され、この形式に落ち着いたのです。

今思えば、本の完成度の点からは、本書においては、4章だけに絞るべきだったのかもしれません。しかし、取材をさせていただいた子供の気持ちを考えると、今は掲載できて良かったと考えています。教授からの二つめの指摘は、登場する人物が仙台の二華中、青陵中と東京の白鴎中の親子だけではバランスが悪いというものです。これはまさにそのとおりだと思います。ただこの点も新書の紙幅や作家活動の観点から限界があります。公立中高一貫校という全国レベルのタイトルが付いている以上、正論としては確かに、他に北海道、北陸、中部、関西、中国、四国、九州などから各一校は取材し掲載するべきではないかと思うのです。しかしながら、取材費や交通費のことを考慮するとそれはとても実現可能な話ではありません。少し計算しただけでも、印税をはるかに超える経費がかかることは自明だからです。

以上、新書を書くという作業が、傍から見るよりもかなり難しくその執筆工程で様々な価値の衝突があるというお話をさせていただきました。読者の方々には、お読みいただいた点は大変有り難く、感謝申し上げます。今後、ますます努力いたしますのでどうか宜しく御願いいたします。

著者としての責任

近所のご老人に聞いた話です。最近、書店が閑散としているというのです。その現象は何となく感覚的に理解できます。理由の一つとしては昔のように書店まで足を運び、本を購入して読む人が減少しているからだと思います。では、ネットの書店が盛況かというとこれもまたそうでもありません。「アベノミクス」ではなくいわゆる「アべコべノミクス」による不況ですね。これまで出版の花形だった新書の売れ行きにもそれは現れています。面白そうな新書でも発売後、昔のような初速の勢いがないようです。新聞の広告を見ても景気のいいキャッチは影をひそめています。
何故なのでしょうか。本を買わない人々は一体どこにいるのでしょうか。

あたりを見回してひとつ気がついたことがあります。それは、図書館で借りる人の数の増加です。先日、自宅近くの図書館に行き驚きました。高齢者や若い母親を中心にものすごい活気がありました。以前は書店にいたであろう人々が、そっくりそのまま図書館に移動してきたかのような感じです。
ふと、私の本はどういう読まれ方をしているのか気になりました。これまで自著が図書館でどのような動きをしているのか、調べたことなどありませんでした。そこで、全国の主要な図書館や、極端に辺鄙な図書館を30ほどピックアップして、「小林公夫」と入力し検索してみました。私はその結果に驚きました。私がこれまでに書いた新書はほとんど図書館に所蔵されていたからです。それも、もう何年も前に書いた「勉強しろ」シリーズがいまだに貸し出し中になっているケースもありました。

先日出版した「子供のための苦手科目克服法」にいたっては、調べた図書館がすべて貸し出し中で、横浜市立図書館は予約が21人待ちでした。全国に図書館は4000以上あると聞きますが、その図書館で、私の知らない誰かが私の作品を読んでいるということを知り不思議な気持ちになりました。本が売れるとかそういうことは二の次ですね。私が仕事をしている時、睡眠中も書物を通じ誰かが私のメッセージを受け取っているのです。著者としての責任とこの仕事の意義深さを考えさせられる出来事でした。

新判例・裁判例を分析、研究する1週間

以前、博士のお仕事日記でも紹介しました刑法の長大な論文ですが、論文が掲載されるコンメンタールが共著のため刊行時期が大幅に延び、論文の発表が遅れております。原稿の締め切り自体は今年の3月末でしたが、共著者の中にまだ原稿が出来上がらない方がおられ、第2巻の1冊分の原稿がそろわない状況なのです。出版社に私が原稿を提出したのが4月1日でしたから、もうかれこれ8ヶ月になろうとしています。
まあ、他に相手のあることですから待つほかありません。ただ、コンメンタールの場合、共著者の原稿提出時期にずれがあると、その間にかなりの数の新しい判例、裁判例が出てきてしまいややこしい話になるのも事実です。私の場合も先日tkcで「可罰的違法性」、「正当行為」、「正当業務行為」、「超法規的違法性阻却」と検索をかけてみたところ、この間にかなりの数の新しい判例、裁判例の増加を認めました。これから重要な判例をセレクトして追加作業に入ります。仕事というのは次から次に出てくるもので、なかなか休みが取れません。この1週間は早朝から夕方まで1日10時間の研究態勢となりそうです。

ちくま新書、大幅に書き直し入稿しました。

長らく「博士のお仕事日記」を更新できずに申し訳ありませんでした。
今日はいろいろご報告がございます。まず、悪戦苦闘しておりました、ちくま新書ですが、1章、2章、5章をこの2週間で大幅に書き直し、又、3章を合計3万字ほど新たに書きおろし、何とか出版社に提出いたしました。出版社のほうでも12月4日発売に間に合うようにぎりぎり入稿されたようです。

タイトルは秘密ですが、知り合いの関係者に話したところ、発行部数の多い地方のリビング新聞社が先日発売された「子供のための苦手科目克服法」と共に紙面で、プレゼント紹介してくれることになりました。掲載は12月上旬とまだ先の話ですが良い徴候です。又、「子供のための苦手科目克服法」ですが、能開センターの近畿地区本部のホームページと関係の約20校のホームページで本日から詳しく紹介されています。ご興味のある方は、ごらん下さい。

本の出版で言うと、今月は10月15日に新聞ダイジェスト社から初版1万部強の「一般常識問題集」が、10月25日頃に早稲田経営出版から、ベストセラー「2015年版一般教養の天才」(初出1993年・20版)が発売になります。ここのところ書く仕事が集中していますが、今年は残りの時間で、司法試験刑法の解説書のような本を書こうと計画しています。名付けて「司法試験の論文に役立つ小林式樹形図・形法学」です。
明日からは、中国刑法と我が国の刑法の比較に関しても研究を再開し、朝独(朝5時から独文献や独の小説を読む)も再開します。アカデミックな日々が続きそうです。


司法試験合格メール

今日は嬉しいことがありました。1年生のときから毎週1回3年間、一度も休まずみっちり刑法をお教えした法科大学院の院生から午後4時10分過ぎに司法試験合格のメールを頂戴したからです。

掲示板のナンバーと受験票のデータも画像で送られていました。4時に合格発表ですから、御両親と祖母に連絡された後、すぐに連絡して来てくれたのだと思います。と言いましても、私は現在、法科大学院の教育補助講師職はすでに退いているのです。それなのに忘れずに連絡をくれるなんて。

加藤さん、おめでとう、そして有難う。
こういう感動を味わうと、「受験指導のプロ」と人から呼ばれることも、またいいものだなと感慨にふけります。小林刑法体系の継承者が又一人増えました。
ところで、彼よりも時間をかけてお教えしたゼミ生は来年の受験になります。この調子ですと来年はさらに沢山合格するのでしょうね。今から楽しみです。

PHP新書完成!

25.8.26

最初の大阪取材からすでに約1年の歳月が流れましたが、ようやく手を焼いたPHP新書の原稿も私の手を離れました。今回は、テーマが難しく考えさせられる内容だったためか、予想どおり苦戦しました。実は第一稿として6万字程度は5月の段階で既に書き上げていたのですが,編集担当者と「妥協を許すことなく、よりよい作品をつくろう」と話し合い、第一稿を全面的に、ほぼ100パーセント書き直しました。更にその後、新原稿も4万字ぐらいプラスしてようやく完成させたわけです。

結果として、図版を入れると270ページほどのやや分厚い新書になりました。私の書いた新書では一番厚い作品でしょうね。発売は、9月18日ですが、そろそろネット等で、予約販売がなされるかもしれません。タイトルは意外なタイトルです。ただ、企業秘密で口止めされていますので、詳しいことはお話できません。あしからず。

尚、筑摩新書の締め切りもあと、1週間と迫りましたが、ここに来て雑用が多く全く原稿に手がつけられません。えらいことです。今日中に雑用を片付け明日は早朝4時半に起床し、一万字弱は書かねばなりません。この1週間は本業の刑法の研究もお休みで、筑摩新書の原稿執筆に追われそうです。


2013.8.23

甲子園の土

今日は、29年前の私のお仕事日記についてお話します。昨日、夏の甲子園大会が終わりましたが、29年前の今頃、私は少女雑誌の芸能デスクとして、夏の甲子園大会を取材していました。今の仕事とは全く似ても似つかないですね。当時、宮崎県都城高校の左腕で田口竜二さんという方がいて、彼を取材するために、甲子園に行ったのです。田口さんは、その年の春の選抜でPL学園の桑田さんと投げあい準決勝で惜しくも敗れたのですが、そのひたむきな姿が感動を呼び、ダンボールにして何箱もファンレターが届いたそうです。カメラマンは、石川正勝さん。石川さんの御親戚がたまたま甲子園から徒歩数分の所にお住まいで、そこでお世話になりつつ取材を続けました。もう29年前のことですから、あの時の取材のことは詳しく覚えておりません。しかし、二つの事柄は鮮明に覚えています。

一つは1回戦、都城高校が足利工業高校に勝ち、彼の宿舎に取材に行ったときのことです。夕食のメニューに驚きました。その日のおかずはとんかつでしたが、少し普通と違うメニユーでした。それはご飯が大盛りのカレーライスだったことです。私もかなり食べるほうですが、とても食べきれないカレーライスととんかつが食卓にどん、とのっていたのを覚えています。
そして、もう一つ。それは、甲子園の土のことです。甲子園のマウンドにのぼったわけでもないし、試合をして敗れたわけでもないのに、何故か私は甲子園の土を東京に持ち帰りました。当時流行のキユ-ピーマヨネーズの空き瓶に甲子園の土を一杯にし持ち帰り、部屋に飾りました。理由は分かりません。しかし、毎日この土をながめていて、ある日不思議な感覚におそわれました。それは、この土は確かに甲子園の土で特別な土なのだけれど、私にとりどういう意味があるのだろうかということです。甲子園で試合をしたわけでもない私が一体何のために甲子園の土を持ち帰ったのか、不思議な気分が漂い始めました。結局、引越しを機に、私は甲子園の土を捨ててしまいました。私にとりこの土は、その程度の意味しかなかったのでしょうか。泣きながら、土を袋詰めする高校球児とはやはり意味が違ったのでしょうか。

2013.7.27

台湾の刑法は結果無価値論

先日、この3月まで5年間刑法を教えていた大学院の学生から、私が今所属している研究所で刑法の講義や講演は無いのかとの、ご質問を頂きました。
大変有り難いお話で、解職後もこのように「私の講義がどうしても聞きたい」とお慕い頂けることを嬉しく思います。何かできることを模索したいと思いますが、研究所の特性から、講演をするにしても中国や台湾の刑法とわが国の刑法の比較というような内容が妥当な線かもしれません。
私は可罰的違法性の研究者ですので、日本と中国の比較検討をしようとも考えておりますが、中国語が不慣れですので、判例の分析がままなりません。これからは少し中国語も勉強せねばなりません。台湾の刑法については、一橋大学の博士後期課程のときに台湾からの留学生がおり研究発表を聞いたことがあります。どういうわけか、その留学生は結果無価値論を支持しており、不思議な感じを抱きました。その留学生の師匠は東大法学部にでも留学していたのでしようか。

作家業のほうは、何とか、PHP研究所に99パーセントの原稿を提出し終え、はしがきと少々の追加原稿でおしまいです。次は筑摩書房の新書ですが、こちらも刊行日が決まっておりますので、急がねばなりません。
休みの無い日々が続いており、土曜日とか日曜日とかいう感覚は全くありません。ポカリスエットに栄養ドリンクを入れて、お茶代わりに飲む毎日です。




2013.7.23

多摩センターの街は、島宇宙

先週末から本日まで,筑摩書房から刊行する新書の取材でてんやわんやでした。
テーマは受験に関する内容で、本日は多摩センターにあるべネッセコーポレーションに取材に行きました。
いやぁ、今日は驚きました。立川南駅から、モノレールに乗ったのですが、これが超満員電車。体は全く動かせません。クーラーはきかず、中はサウナのようで、何十年ぶりかにサラリーマン時代を思い出しました。混雑の理由はどうも、中央大学、明星大学、帝京大学の学生さんの通学時間帯とぶつかったからだと思われます。

取材対象は、教育総合研究所の室長、研究員の方と小学生事業部の編集長、担当者の方4名で、そのうち女性の比率は75パーセント。女性が活躍している会社ですね。大変貴重な面白い話がたくさん聞けて、いつものことですが、やはり自らの足で取材し原稿を書かねば面白い記事は書けないのだなと改めて実感いたしました。これはマスコミ時代からの癖ですね。

ところで多摩センターという街、私は生まれてはじめて降り立ちましたが、べネッセの企業城下町で、三菱東京UFJ、マクドナルド、三越、丸善などが立ち並び、すごいところでした。いわば、300メートル四方を歩くだけで全てかたがついてしまう感じです。人類にとりエネルギー効率のいい街。住んでみたいと感じました。
それにしても、朝日新聞の記者でもない個人の作家に、真剣に対応してくださり有難うございました。マネージメントしてくださった広報部の方には感謝です。明日は半日、取材のレコーダーを聞きつつ原稿を書き、半日は刑法の研究をします。最近、刑法の新しい指導法(小林式樹形図刑法)をあみ出すべく研究時間を増やしています。

2013.7.14

汗牛充棟の本と論文に囲まれて

大変暑い日々が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
このコーナーでの御案内が遅れたのですが、縁があり、私はこの5月から都内の私立大学(研究所)の客員研究員を務めています。研究所の特性から、現在は日中の刑法の比較というテーマで論文を発表すべく,研究にいそしんでおります。
中国刑法というのは、わが国では研究論文が多いほうではありませんが、なかなか面白い研究対象です。特に憲法、刑法の二つの観点から興味深いテーマが出てきそうです。今は、図書館で10ぐらいの関連の論文をコピーして目を通しているところです。

その他には、出生前診断や再生医療の専門書に目を通したり、数学や生物学の専門書を読んだりの毎日です。そうですね、外出しない日は1日14時間は研究や執筆をしていますかね。そろそろ終わりにしなければならないPHP新書は、未だ少し書き足さねばならず、あと一息というところです。

ここに来て秋に向けての新刊もちらほら出版され始めました。その中の1冊、高橋書店の一般常識の本は、初刷りが30000部だそうです。本が売れない時代に刷り過ぎではないかと思いますが、30000人の大学生が目にする本を書くというのはなかなか気持ちのいいものです。いずれにしても執筆と研究の暑い日々がまだまだ続きそうです。


2013.5.29

「君が考えたのなら、それでいい」

このコーナーでの御紹介をあえて控えていたのですが、先日、私の師でありわが国の刑法学の重鎮である大塚仁博士をお訪ねしました。博士が編集責任者を務めておられる刑法の注釈書に掲載される私の原稿を御審査いただくためです。恐る恐る名古屋の博士宅にお電話しお伺いしたい旨を尋ねると、驚くことに一つ返事で快く御了解くださいました。午前中に博士ご指定の「サングリエ」というフランス料理の名店でお待ち合わせをして、最初の1時間は私の書いた論文について御論評をいただきました。

そして、その後は、博士の東京大学法学部時代の話など約3時間近く興味深いお話をお伺いしました。意外だったのは、私の書いた論文に対する博士の見解です。私は二つの質問を博士に投げかけました。
一つは、家庭内での暴行・傷害行為が、可罰的違法性の問題となるのは、244条(犯罪は成立した上で処罰阻却されるが通説)との関係で均衡を欠くのではないかというものです。親族相盗のようにいくら条文に根拠がなくとも、通常、被害の度合いが財産犯よりも高く、回復可能性も低い(弁償しにくい)身体侵害罪が、裁判例のように違法性のレベルで考慮されるというのはいかがなものでしょうと申し上げたのです。

もう一つの質問は、私が新たに導入した「権利行使と住居侵入罪」という概念についてです。「権利行使と恐喝罪」あるいは「権利行使と詐欺罪」などは一般的ですが、「権利行使と住居侵入罪」なる概念は、基本書には記述が無いのです。先人が体系立てていないこのような概念を私が導入することは正しいのでしようかとお伺いしました。
静かに私の話に耳を傾けておられた博士は、付箋が貼られた論文の該当箇所をしばらく注視されておられましたが、たったひと言こう述べられました。

「そうか、君、なかなか面白いことを考えているね。これは新しい議論と言えそうだね。ただ、君がそのように考えたのなら、それでいいじゃないか。君が深く考えてその答えが出てきたのならそれでいい。私もそれでいいと思う。」

と述べられたのです。私は、「は、はい」とひと言返事をするのが精一杯で、その後、この問題に関し更に質問を続けることはできませんでした。思い出すだけでも、胸が高鳴るので、この話の続きは折を見てお話しすることにします。

2013.5.20

共謀共同正犯と放火は的中!

昨日、司法試験の全日程が終了したようですが、4月9日のこのコーナーで私が記した刑法論文の予想はまんざら的外れではなかったようですね。問題を未だ見ていないので、何とも言えませんが、共謀共同正犯、放火が出題されたようですからね。しかし、この予想は誰でも的中しうる予想です。なぜなら、4月9日の「博士のお仕事日記」にも記しましたように、新司法試験がスタートして以来、各論の重要論点では放火と賄賂罪、名誉毀損罪のみが未出題分野でしたから‥‥‥。賄賂罪と名誉毀損罪はねぇ、しかし出題しにくいですねぇ。ですから予想から外しました。

この話については問題を見て分析の上、解答の概要をお話しすることにします。法務省のホームページにはいつ論文の問題が掲載されるのでしょうか。解答が書けずにうずうずしております。どうせ、判例に則し正犯者が加重なことをしでかし、共犯者が公共の危険の発生を認識していなかったというような出題なのでしようが、判例は認識不要説ですからね。必要説に立たなければ、錯誤の問題にもなりませんなぁ。
会話など事情を細かく拾い、共謀の射程を論じさせるのでしょうね。ところで、共謀共同正犯ということは、暴力団が主人公なのでしょうか。早く問題が見たいものですなぁ。

2013.4.9

今年の刑法の出題は?

いよいよ、司法試験が近付いてきましたが、今年の刑法はどこから出題されるのでしょうか。気になりますね。昨年が財産犯、文書偽造罪に重点が置かれ各論の分野が集中的に出題されましたので、今年はやはり、総論中心の出題に変わるのでしょうか。こればかりは分かりませんね。ただ、もし総論から出題されるのであれば、2008年に出題された共謀共同正犯と射程の問題をさらに難解にした「共謀の射程」を考えさせるもの、あまり学生にはなじみが無いと思いますが、「作為犯と不作為犯の共同正犯」、折衷的相当因果関係説では記述しにくい「因果関係」を論じさせるもの、実行行為が終了したか否か不明な事例を題材とした「中止犯」、複雑な「間接正犯」の成否を問うもの、新傾向として「教唆犯、幇助犯」中心の出題が怪しいのではと、考えています。
まあこれはあくまで予想ですから、はずれる確率のほうが高いと思いますが、今、挙げた分野はどれも重要で、学習を深めておくべき分野ですから、学習者にとり目を通しておいて損は無いと思います。換言すれば、これらの分野は、学生がよく理解していない分野ですね。出題されれば、必ず差がつきます。一方、2年連続で各論からの出題ということであれば、これは予想がさらに難しくなります。しいて挙げるとするならば「詐欺罪」、「恐喝罪」、「業務妨害罪」、まだ一度も出題されていない「放火罪」、以前出題されて不出来だった「同時傷害の特例」は確認しておきたい分野でしょうか。
試験まであと約1ヶ月、受験生の皆さんにおかれては、健康に気をつけて更に御精進ください。

ギネスブックもびっくり!

6日土曜日、何気なく朝日新聞の朝刊に目を通していて、唖然とするできごとがありました。朝日を読まれている方でお気付きの方は、同様に驚かれたと思いますが、8面の法科大学院の広告特集にとてつもない誤植があったからです。なんと、数十校の法科大学院の院長の写真が掲載されたこのページで白鴎大学と中央大学の法科大学院長の写真が全く同一だったのです。まさかお名前が異なるのに同じ顔ということはありませんよね。又、いくら法科大学院の統合が叫ばれていても、院長の一人二役という話は聞いたことがありません。これにはたまげました。

誤植といえば、あまり知られてはおりませんが、昔、世界一の大誤植と評された本がありました。.川本三郎さんの翻訳本です。このケースでは、本に「訳・川本三郎」と記載されるところが、「誤訳・川本三郎」というふうに印刷されてしまったというのです。この誤植はギネス級ですね。何も丁寧に、誤訳とまでしなくてもいいと思います。しかし、今回の朝日の誤植もそれにまさるとも劣らないどえらい誤植です。なにせ、上下に並ぶ2つの大学の枠内に同一の顔写真が入っているわけですから。全国紙レベルでこんなことがあるんでしょうか。ありえない話ですね。
それにしても、校正という仕事は大変です。誤りがあり読者から苦情が届いて初めて、その存在が浮き彫りになる仕事ですからね。ミス無く正しい仕事をしていればその存在すら気付かれることはない。つまりできて当たり前の仕事なわけですね。その意味からすると、校正者には少し同情したくなるできごとです。

2013.4.4

花に嵐のたとえもあるぞ…

3月25日のこのコーナーで、“だいせんじがけだらなよさ”という寺山修司の詩を紹介しましたが、実はこの「さよならだけが人生だ」という言葉は、寺山修司のオリジナルの言葉ではありません。オリジナルなのは、彼が遊び心のある逆さ言葉にしたところだけですね。この含蓄のある「さよならだけが人生だ」という言葉は、正確には、井伏鱒二の<花に嵐のたとえもあるぞ、サヨナラダケガ人生ダ>という、唐のある詩人の邦訳に由来があるのです。本日の朝日新聞の天声人語にもその経緯が詳しく書かれていますね。偶然でしょうか。もしお時間がありましたら、皆さん目を通しておいてください。
4月になり、皆,新学期であわただしい毎日を送られているのでしょうね。私は、現在、目前の2冊の新書の執筆におわれています。ただ、2月まで書いていた刑法の論文と比べかなりやわらかい内容なので筆の進みが滑らかですね。余裕も少し出てきて、思索にふける時間もできたので、新しい刑法理論について構想を練りながら、様々な日々の仕事をこなしていこうと思います。



2013.4.2

古書店が減少し、ラーメン屋が増加…悲しい本郷三丁目

このコーナーでも何度かお話してきた刑法の長大な論文ですが、文献・判例解読に約6ヶ月、執筆に約2ヵ月半、校正に約1ヶ月という時間がかかりましたが、何とか3月末に完成し、4月1日に出版社に提出致しました。ギリギリではありますが、約束の期日に原稿を間に合わせました。

この日は気分転換にと、ゆったりと丸の内線に乗り、本郷三丁目で下車、東大正門近くの出版社で打ち合わせ後、近隣の古書店で古い刑法の文献を探しました。しかし、東大周辺も随分と様変わりしましたね。昔、よく通っていた古書店がいくつも消え、ラーメン屋が随分と増えているのには驚きました。

今日、ぶらりと歩いた感覚では、何となく東大周辺もアカデミックな雰囲気が消えつつあります。これはとても残念なことです。学術が食にとってかわられてしまうとはねぇ。時代の変遷でしょうか。
ところで刑法の長大な論文は、共著のため、他の執筆者の原稿がすべて揃った時点で順次刊行となるそうです。

先はまだまだ長そうですね。




2013.3.25

“だいせんじがけだらなよさ”(寺山修司)

3月17日の日曜日は、法科大学院の未修1年生のゼミの最終日でした。
この日は、複数の最高裁判例、下級審判例をもとに作成した長文の刑法の問題を検討しました。
いつものごとく、まず私が全体の流れや理論面を解説して、その後学生からの質問に一つひとつ答えながらゼミを終えました。ただ、この日は特別な意味がありました。未修1年生へのゼミとしては、私にとり最終講義だったからです。どこで終わりを告げるべきか。味わったことのない不思議な重たい空気が流れていました。「じゃあ、皆、元気で…」とそっけない挨拶をして立ち上がろうとすると、12人のゼミ生のうち2~3人が部屋からスッと消え、30秒ほどして「先生!」という大きな声とともに再び部屋に現れました。一人の手には花束、一人の手には大きなシフォンケーキとクッキーが持たれていました。

「一年間、ご指導本当に有難うございました」
これって“どっきりカメラ”ではないのだろうか。私は予期せぬ出来事に驚きを隠せませんでした。何故なら、これまで3年も4年も指導してきた学生からもこのような手厚いおもてなしを過去に受けたことがなかったからです。
私は自分を省みました。この一年間、私は「ゆとり教育世代の子どもたちはどこか私の常識とズレがあり、扱いが難しいな」と心のどこかで感じていたからです。ところが、そのように感じていたこの学生らがまさに、私の心に一本のろうそくを灯す子どもたちだったのです。

もう一つの別れの話、それは3月24日の未修2年生との別れの話です。彼らとは、1年生の頃から2年間、悲しみも苦しみも共有し合えるような、家族のような付き合いをしてきました。思い出されるのは、2年生の前期の6月の出来事です。土曜日の昼下がり、2階の補助講師室の前の廊下に何名かのゼミ生が落ち着きなく佇んでいました。「どうしたの」と聞くと、どうしても私と話がしたいというのです。聞けばなんでもないことなのです。「ここのところお会いしていないので、すっかり元気がなくなってしまった。どうしたらいいか」、というのです。私は“猪木”なのだろうかと思いつつ、彼女らと30分ほど言葉を交わしました。やり取りの中で元気をもらったのはむしろ私のほうでした。教師というのは、こういう何気ない学生からの言葉が一番心に沁みるものなのです。
2年生の前期は、学生らが訴訟法を学ぶ時期ですから、この時期、私は1年生を中心に刑法の5つのサブゼミを持っていました。私の心は彼女らの方を向いていませんでした。しかし、私がよそに出かけている間に、彼女たちはとても淋しい思いをしていたのだと感じました。と同時に、私に人の心を元気にする源泉など本当にあるのだろうか、と思ったのも事実です。

今回は、そんな彼、彼女らへの最終講義です。いつものようにつとめて元気を装いましたが、雰囲気的には、勉強どころではないですね。そして、2時間半のゼミを終えると、真心のこもった素敵な寄せ書きを頂きました。その後、皆で記念撮影をし、さらに、未修の3年生1人を加えた8名と、ひとり1人ツーショットで写真を撮りました。この写真が司法試験の合格のお守り代わりで、これから試験まで机上に飾るのだそうです。私の写真がお守りになるのかどうかは疑問ですが…。

「会うは別れの始まり」とはよく言ったものです。会えば、必ず別れが来るのですね。
でも、それが人生なのだと思います。


“だいせんじがけだらなよさ”
“だいせんじがけだらなよさ”

さかさに読むと、あの人がおしえてくれた……



2013.3.23

刑法とアール・クルー

前回は山崎晃嗣の数量刑法学について述べましたが、これは夢の世界ですね。同時に、可罰的違法性論で、そもそも違法性阻却の前に構成要件該当性が否定される「絶対的軽微型」なるものが、ネクタイを2、3度引っ張る暴行であるとか、全治5日以内の傷害であるという議論も私には虚しい話に聞こえてしまいます。
だからといって何らかの数量的な基準がないと、構成要件該当性、違法性を論じる場合の指針が何らないわけで、相応の客観的基準を探らねばなりません。

まあ、こんなことばかり考えていると、夜も更けてくるわけですが、明日も朝が早いので、アール・クルー、「ワルツ・フォー・デビー」とmihimaru GT (HIROKO)とsoweluの歌う「部屋とYシャツと私」でも聴いて寝ることにします。soweluは色白でホラン千秋に似ていますね。2人の顔を見ていると、丸山薫の詩を思い出します。
「汽車に乗ってアイルランドのような田舎へ行こう」という気分になりますね。

それにしても数量刑法学とアール・クルー、HIROKO、sowelu、つながりませんねえ。 


2013.3.21

違法性の数量化?

刑法の違法性の実質について行為無価値二元論に立ち、更に社会的相当性説をとると、行為が社会通念上相当な範囲内にあるという概念をどこまで客観化できるかが重要な鍵となります。
私は、治療行為やスポーツなどの範躊においては、その客観化は可能と考えていますが、世の中で起きている様々な事件を対象とすると、行為者の行為が違法であるか否かの分水嶺は、なかなか明確に客観化することはできません。数学のように数式化することはできないのです。

三島由紀夫の「青の時代」を読むと、光クラブ事件の山崎晃嗣(あきつぐ)は、東大法学部時代に数量刑法学(私から言わせると、これは数量量刑学ですが…)なる概念を導入しようとしたとのことですが、荒唐無稽ですね。同様に、私がこの数ヶ月間研究を続けてきた可罰的違法性の存否の基準も、数量化することは難しいと思います。人間の感情が強く要素として絡んでくる以上、いきおい、客観化は難しくなってしまう。1年間、この問題だけ考えなさいと、特命でもでれば研究し、ある程度の成果がでるのでしょうが、それでも難しいでしょうね。ところで、この問題は一般の方にも興味のある事柄と思われますので、いずれ、新書の中で展開してみたい内容だと思いました。題して、「犯罪と非犯罪の間」。何やらどこかで聞いたことのあるタイトルですね。ただ、トータル何千もの判例を研究してきて、それを法曹界だけの情報としてしまうのはもったいないというのがその理由です。どこかで、この情報を一般社会と共有できないかと考えています。まあ、この問題に関してさらに研究を積まねばなりませんが。

2013.3.17

サプライズ

休みなく論文を書いたり慶應法学部の論述力(内閣総理大臣のリーダーシップ)の解答に取り組んだりしていたからでしょうか。金曜日から体調を崩してしまいました。

ただ、(土)(日)は法科大学院に出講しなければならず、無理をしつつ出講しました。でも今日は大学院に出て良かったと思います。それは、私の心に一本のろうそくが灯るようなできごとがあったからです。
詳細は後日お話します。



2013.3.9

週刊現代の取材

先日、明治大学広報課を通じて週刊現代編集部より取材の依頼がありました。
東大についての企画ということで、数日前に編集部の記者の方にお会いして1時間弱お話をしました。しかしながら、誌面に登場するのはたったの数行。テレビにしても雑誌にしても、ムズカシイものですね。
来週の月曜日に発売だそうです。
今日は法科大学院に出講。未修2年生のゼミと未修3年生のゼミをこなしました。明日も日曜出講で早朝から未修1年生12名のゼミがあります。違法性に関する論文の最終校正も峠を越え、少しずつ一般書を書く自由な時間ができつつあります。現在進行中の書籍は全部で8冊。昨年から取材進行中の新書に関しては早期の出版を目指して原稿を進めようと思います。


2013.3.7

法律学の奥の深さ

博士のお仕事日記を1月29日に更新した後、またまた1ヶ月以上が経ってしまいました。理由は様々ありますが、とにかく、忙しかったのです。
まずご報告ですが、前回の日記にも登場した刑法の長大な論文はなんとか2月の上旬に書き上げました。しかし、この後の作業である論文の校正がスゴイ。なんと言ってもラテン語の文献を含めかなりの数の文献を引用しましたから、その引用部分を再び詳細にチェックしつつ正しいかどうかを検証しなければならなかったからです。
判例も明治時代のものから現在のものまで、ざっと1500ぐらいは検討しましたので、その中で実際に引用した判例の年月日、事案の内容を一字一句チェックせねばなりません。週に3日法科大学院に出講する以外に休み無く約3週間はこんなことばかりやっていましたから、背中が張ってしまって、亀の甲羅のようになってしまいました。ただ、この仕事は私の人生にとり意義のあるものでした。
そして、又、このたびの研究の結果、多くの謎が残りました。学問というのは、学べば学ぶほど謎が増えるものですね。これはよく考えているからこうなるのでしょうか。それとも私の考えが足りないからでしょうか。分かりませんね。兎に角、法律学の奥の深さに圧倒されています。これから1ヶ月間は自説である「社会的相当性」説(これが謎です)とは何であるかを1日1時間は考えてみようと思います。こう書きましても一般の読者の方には何のことだか分かりませんよね。申し訳ありません。
次回はもう少し普通の話をいたします。


2013.1.29

論文作成の終盤に思うこと

 11月中旬から1月にかけて、違法性論に関する刑法の論文の仕上げに週3日間は完全に時間をとられており、「博士のお仕事日記」を全く更新できませんでした。申し訳有りません。その長大な論文もいよいよあと数日で完成しそうです。ですから、いよいよ他のことをする自由な時間が持てるようになります。
 それにしても、この淋しさは一体何なのでしょうか。毎日そのために机に向かっていたわけではありませんが、文献解読に6ヶ月、執筆に実質2ヶ月半(期間としては5ヶ月)かかった今回の論文ですが、この感覚は55万字の博士論文を書き上げた時の感覚と似ていますね。これは言葉には表せない不思議な感覚です。論文作成のプロセスはワクワクしてとても楽しいのですが、完成してしまうと私の手を離れてしまうので妙に物悲しいのです。どこからかAuld Lang Syne(オールド・ラング・サイン)の調べが聴こえて来そうです。

ところで、ここ数日、大学院生から刑法の質問がメールで2点寄せられていますが、解答が書けていません。内容はカンタンなのですが、入力するのに時間がかかりますからね。論文が終了次第、略解をメールしますので、今しばらくお待ちください。

2012.11.8

新書を書きたい、ウナギを食べたい

このところ一般書をなかなか刊行できないでおりますが、この数か月の間に、出版社からお話はいくつか頂いているのです。
とくにこれまでに4冊刊行して、1冊を除き、3冊が増刷(22刷、2刷、2刷)になっているPHP新書は、ここのところ毎年1冊は刊行しているという感じです。
ちなみに、3冊目の増刷は2刷といっても初版が20000部ですから、一般の作家なら5刷というところでしよう。
PHP新書で現在予定されている新刊は、内容は㊙ですが、やはり子どもの勉強に関するもので、養老さんなども担当している私の担当者から提案を頂きました。現在鋭意取材中で、約2か月前の9月11・12日に大阪で取材を開始し、その後東京で2人取材をし、さらに東京で複数名の取材を予定しております。この他に、一般書が1冊、医学部ものが3冊、ロースクールものが1冊ありますが、まだ手付かずです。今日も少し執筆したかったのですが、 明日朝7時15分から法科大学院未修生7名の刑法サブゼミがありますので、共謀共同正犯理論について、判例最決平19・11・14集61巻8号757頁のレジュメを入力、作成せねばならず、現在のところ一行も書けておりません。ただ現在執筆している刑法の論文も峠を越しましたので、そろそろ、一般書と併走という形で、進めることが出来そうです。
それにしても、このところ1日に百ぐらいの判例全文に目を通しておりますので、かなり目が疲れてきました。これだけ、目を酷使すると、肝油ではリカバーできません。本当はウナギがいいのでしょうが、高くて食べられません。残念!

2012.10.31

この2カ月間、「博士のお仕事日記」を更新できずにすみません。
言い訳していいわけないのですが、ここのところ
とてつもなく忙しく、とても更新できる状況でありませんでした。

最近のスケジュールを少しご紹介すると、(金)、(土)、(日)は明治大学法科大学院教育補助講師室に出講し、(金)は、2年生のグループと3年生のグループに刑法サブゼミ、更に既修生1名に起案指導をし、(土)は既修2年生のサブゼミと1年生のサブゼミをこなし、(日)は1年生のサブゼミを2つこなしたあと、既修2年生と未修2年生に刑法演習の予習の指導をしています。

勿論、空き時間にも複数の院生が訪ねてきますので、この2年間昼食や夕食をまともに大学で食べた記憶がありません。先週の昼食時間はほとんど1分。大心堂の雷おこしをほおばり、オランジーナを飲んだだけでした。
尚、(月)~(木)はおおむね12時間、自宅にて、積めば天井の高さの1.5倍はある論文、書籍を読み込んでは、刑法の論文を書くか、学生の答案を読んだり、サブゼミのレジュメを作成しております。

おそらく、12月の末には刑法の論文もひと段落すると思いますが、それまでは辛抱の日々が続くでしょう。くれぐれも石にならないように気をつけます。今日も、机の前に座り続け6000字程度原稿を書きました。明日も早朝から学生の答案を読み、刑法のレジュメを作成します。出版社からいくつか一般書の校正も届いておりますが、全く読めておりません。従いまして、なかなか本が出ません。あしからず。

2012.9.1

「窃盗犯と正当防衛」の論点は、法科大学院生にとりとても興味深いものなのでしょうか。8月28日にターゲブーフで示した1~3の質問以外に、先日私が指導に参加しているサブゼミで次のような質問が院生から寄せられました。

<事例>
Xは侵入窃盗をするため、資産家宅に、木刀を持って侵入した。そして、廊下を歩いていると、その侵入に気づいた資産家Yが廊下の壁にかけてあった猟銃を構え、Xに「コラッ!出て行かないと撃つぞ!」と脅迫した。Xがなかなか退散しないので、そのままYが猟銃を構えていたところ、Xの侵入に狼狽したYは我知らず猟銃の引き金を引いてしまった。そして、その弾がXに当たりXは死亡してしまった。Yの罪責や如何に。

これなども、8月28日のターゲブーフに示した「盗犯等の防止および処分に関する法律」で処理すれば何も問題ないのですが、刑法の処理としては一つ一つ構成要件該当性、違法性の順に検討することになります。

解答の一例を示すと、まずYが猟銃を構えてXを脅迫した行為は、脅迫罪の構成要件に該当するでしょう。しかし、状況が状況ですから、正当防衛として違法性が阻却されます。また、我知らず猟銃の引き金を引いてXを死亡させた点は、過失致死罪の構成要件に該当し、正当防衛として違法性が阻却されると考えます。
サブゼミで、この問題を提示した院生は、なかなか良く勉強している人だと思います。

何故なら、私は気づかないふりをしておりましたが、この問題は、「現代刑法理論の現状と課題」(川端博著・成文堂)で取り上げられている論点ですからね。
司法試験の論文も、よく練られたものが出題されるようになりましたので定型的ではない「自分の頭で良く考えて」解答する力が現在は要求されているのだと思います。

2012.8.29

家で寝ていても、住居侵入と窃盗には、問擬される!?

昨日の話の続きですが、Zには果たして占有離脱物横領罪しか成立しないのでしょうか。私はそうは思いません。通常、承継的共犯と言うと、先行行為者が強盗致傷などをした後に後行行為者が関与するケースが教科書等には代表的論点として掲載されておりますが、私は本問のようなケースも承継的共犯の適用場面であると考えるからです。本問で、Zはそれまでの詳しい経緯をⅩから聞き、Xの先行行為を積極的に利用して資産家宅に侵入して金を取っています。そしてそうである以上、たとえZが人を死亡させた以外の第三者であろうともXの行為や結果を自己の犯罪遂行の手段として、積極的に利用しているのであれば、住居侵入と窃盗の範囲で責任を負うと考えるのです。結論として、Zには住居侵入罪と窃盗罪の共同正犯が成立すると考えます。ここでご注意頂きたいのは、XとZは資産家とその息子の「死」という反抗抑圧状態を一見利用しているように見えますが、XにもZにも当初から強盗の故意はありませんので強盗殺人は適用されないという点です。この点、少なくともXは当初より拳銃を所持しており強盗殺人でも良いのではないかとの反論があるかもしれませんが、私はそのようには考えません。それは、Xの拳銃所持の理由が不明だからです。

最後に3の問題ですが、本問は決定的に重要です。
まず、Xの行為が仲間のYによる提言という点に注意を払わねばなりません。
Yは資産家宅に大金が保管されていること、また、家の中の間取りを熟知しており、詳細な見取り図を作成し、逃走経路などを記入して前もってXに手渡しています。
つまり、住居侵入と窃盗を実現する上でとても重要な役割を担っているわけです。
このように共謀者が極めて重要な役割を果たしているケースでは、実行の着手前であろうと、共謀者は共犯(共謀)関係から離脱不可能です。
私は、よく学生に、共犯からの離脱で着手前、着手後とよく2分類するけれど、この分類はあまり意味がないのではないかと話しています。何故なら、本件のように、共謀者の一人が極めて重要な役割を担っている場合は、たとえ実行の着手前であろうとも、共犯者に離脱の意思表明をし、当該了承を得るだけでは、離脱などできないからです(もっとも本問のYの行為にはそれさえ認められません)。重要な役割を担った者は相互利用補充関係の解消、あるいは因果の切断の観点から、結局、積極的な回避措置、回避行為が必要となるのです。これでは着手前であろうとも因果がすでに進行している着手後の離脱の要件と何ら変わらなくなってしまうからです。
さて、本問で言うと、重要な役割を担ったYが、携帯電話で一方的にXに連絡して、自らが犯行から降りると伝えただけでは、何ら離脱の効果など生じません。XとYは、住居侵入と窃盗の共謀をしており、Yには「共同実行」と評価しうるだけの共謀関係が認められ、Yには正犯意思もありますので「共謀共同正犯理論」により、Yが何ら実行行為をせずとも、60条にいう「共同して犯罪を実行した」と言えると考えます。従いましてYにはXが1回目に侵入した住居侵入罪のみならずXがZと共に侵入した2回目の住居侵入罪も成立し、さらに2回目の侵入時の窃盗罪も負うことになります。Yに住居侵入罪が2罪成立する点は意外と見落とす人がいると思いますが、ここは肝ですね。2回目の住居侵入罪は共謀の射程外であるとの主張もあるでしょうが、時間的場所的接着性を考慮しますと成立させることが妥当でしょう。他方、資産家に対する殺人などは共謀の射程外であり、Yは問責されません。この問題は少し関連の話をしておく必要がありそうですので、明日以降、更に続けます。

2012.8.28

窃盗犯に、正当防衛は成立するか?

長い間、このページを更新できずにすみません。
このところ、刑法の研究に没頭しており、原稿自体は8月の初旬に入力済みでしたがアップが遅れました。
さて、今日は、8月の初旬に法科大学院の院生から質問の多かった、1「窃盗犯人と正当防衛」、3「共謀の射程」、2「殺人行為後の承継的共犯」についてお話します。3つの質問の内容は概略以下のとおりです。

1 
ある資産家宅に留守と思い窃盗犯人Xが侵入します。
ところが、意外にも資産家の主人が在宅で、不法侵入に驚愕するとともに
「貴様、ドロボーか、殺してやる」と叫びながら、
ナイフでⅩに切りかかります。窃盗犯人Xは身の危険を感じ所持していた拳銃で
主人の心臓を打ち抜いてしまう。さて、Ⅹの罪責や如何に。
さらに、その弾がたまたま主人の背後に居た資産家宅の息子の下肢を直撃し、
その息子が血友病を患っていたため出血が止まらず
死亡した場合はどうなるか。


意に反して主人とその息子を殺害する結果となったXは、狼狽し、
何も盗らずに外に逃走しますが、そこで友人のZと偶然出くわします。
Zは、Xからこれまでの詳しい経緯を聞き、
Xが何も盗らないで逃走してきたのを勿体ないと感じ、
再度資産家宅に侵入し、金を盗もうと提案します。
そしてXとZは、資産家宅へ侵入し、金を見つけ盗み出し
その後、金を2人で山分けします。


以上のXの行為はもとをただせば、仲間のYの提案によるものでした。
Yは資産家宅に時折出入りしており、資産家宅に
大金が保管されていること、また、家の中の様子も熟知しており、
詳細な見取り図を作り、逃走経路などを記入して、
あらかじめXに渡していたのです。
当初は、YもXとの共謀のもと、当日資産家宅へ侵入し、
金を盗むつもりでしたが、犯行当日、Yは突然携帯電話で
「俺は気が変わったので今日は行かないから、お前一人でやるならやれ」
と一方的に連絡して電話を切りその場に現れませんでした。

さて、X、Y、Zの罪責はどうなるのか、というものです。
大変興味深い内容で、質問してくださった
複数の院生に感謝致しますが、この1から3の問題に内在する事柄は
整理すると以下のようになると考えます。

まず1ですが、Xの資産家に対する行為は果たして正当防衛に、又、息子には緊急避難(あるいは正当防衛)が成立するのか、ということです。
あくまで私の見解ですが、資産家やその息子に対するXの行為は正当防衛などにはならないと考えます。
また、特別法を考慮した場合、Ⅹの行為を正当防衛とするのはバランスが悪い
というのが私の感想です。

昭和5年の法律9号である「盗犯等の防止及処分に関する法律」1条は、刑法における正当防衛の要件に関する特例を設けているからです。つまり、その一項で、a「盗犯を防止し、または盗贓を取還せんとするとき」(1号)、b「兇器を携帯してまたは門戸牆壁等を踰越損壊し若は鎖鑰を開きて、人の住居または人の看守する邸宅、建造物若は船舶に侵入する者を防止せんとするとき」(2号)、c「故なく人の住居または人の看守する邸宅、建造物若は船舶に侵入したる者または要求を受けてこれらの場所より退去せざる者を排斥せんとするとき」(3号)の3つのケースでは、「自己または他人の生命、身体または貞操に対する現在の危険を排除するため、犯人を殺傷したるときは、刑法第36条第1項の防衛行為ありたるものとす」と規定するからです。この規定の意義については、解釈に争いがありますが、abcに該当するケースで正当防衛が成立するという点には、争いがありません。

ただ、院生が質問してきた刑法の問題は、一般に特別法違反の点は除き、刑法の解釈のみでこれを処理する趣旨でしょうから、刑法の視点から考察を加えますと、正当防衛の要件を備えた場合に行為は違法ではありませんが、たとえ形式的にこの要件を備えていても行為の全体を評価して、社会的相当性を欠く(あるいは権利の濫用である)場合は違法性を阻却しないと、私は考えます。代表的な事例を挙げると、たとえば防衛者が故意に相手方を挑発し、そのために誘発された侵害に侵害の目的で反撃をするような場合です。
いわゆる自招侵害と正当防衛の事例ですね。
ただ、本件は相手方(資産家の主人)をからかう、侮辱するなどの行為がありませんので、ここに言う代表的な自招侵害と正当防衛のケースとは異なります。
しかしながら、Xは、窃盗の目的で資産家宅に侵入しており、自ら違法の目的で行為をし、驚愕した資産家の主人からナイフの攻撃を受けるに至っており、違法な行為により自ら正当防衛状況を招いていると言えるのです。
外を普通に歩いていたところ、突然見知らぬ男からナイフで心臓を突き刺されそうになったので、とっさに所持していた拳銃で応戦したというようなケースであれば、正当防衛となるでしょう(ただし、銃刀法違反では問擬されます)。しかし、このケースと本件は異なることに気付かねばなりません。もし、仮にこのような状況で窃盗犯に正当防衛が成立するとしたら世の中どうなるのでしょうか。極論すると泥棒に入っても、危険な状況であればどのような反撃をしても良いということになりかねません。この帰結はなんとなく妥当性を欠きますね。結論として本件のXには違法性阻却は認められず、資産家の主人に対する殺人罪、息子に対する殺人罪(因果関係を認めないなら殺人未遂罪)の罪責を負うというのがひとつの解答の道筋です。よしんば譲歩しても過剰防衛でしょうね。
基本的な論点ですが、息子の致死結果については客観面では因果関係、主観面では殺人の故意が認められるか(阻却されないか)、故意の個数の議論も内在しています。

次に、2の検討です。
他に生存の家人が居るのかどうか不明ですが、資産家宅に死者しか居ないと考えた場合この家は住居といえるのか、換言すれば2人は住居権者といえるのか、また死者から金を盗ることは、窃盗にあたるのかどうかが問題となります。
死者の占有については、Aもともと金品を取ろうと思って客体を殺し、その懐中から財布を盗るというような強盗殺人の場合、B人を死亡させたのち、初めて財物奪取の故意を生じたような場合、C人を死亡させた以外の第三者が、死者の物を領得した場合の大きく3つの場面で問題となります。
判例はBのケースについて、生前の占有は死亡直後はなお保護に値するという理由と殺害行為により占有を失わせ、その結果を利用して取ったという二つの理由から窃盗罪の成立を認めます(最判昭和41年4月8日)。この考え方にたてば、本件については、被害者の生前に有した占有が、被害者を死に致らしめた犯人との関係では、被害者の死亡と時間的・場所的に近接した範囲内にあるかぎり、なお刑法的保護に値するとして、窃盗罪を認めるのが妥当と思います。又、本問のようなケースで資産家宅の住居性も直ちには失われないでしょう。

以上述べてきたことからすると、Xについては住居侵入罪と窃盗罪の成立を認めて良いと考えますが、Zはどうでしょうか。上の類型によれば、窃盗に関してはZは人を死亡させた以外の第三者に該当し占有離脱物横領罪しか成立しそうにありませんが、果たしてどうでしょうか。興味深い問題ですが、続きは明日以降、お話します。

2012.7.28

外は34℃、「違法論」を研究する日々

ここのところ、大学に出講していない日は
刑法の論文を広尾の都立中央図書館でコピーしたり、
そこにお目当ての文献がない場合は
国立国会図書館でコピーしたりと、
とても慌しい毎日を送っています。

コピーを取った翌日は、涼しい部屋で
一日中文献を斜め読みするという日々ですね。

ただ、研究生活は、とても意義があります。
8月から10月にかけて「違法論」に関する
短い論文をまとめるのですが、
先人の研究者の足跡をたどりながら、
それに自分なりの新しい解釈を加えていく作業は、
とても刺激的です。

そして、また、自身の勉強不足にも気づかされます。
現在は「違法論」全般の研究の他に、財産的権利を保全するための
正当防衛について最高裁平成21年7月16日判決を素材に
考察を加えています。

2012.6.11

「可罰的違法性論」の研究は、体中がかゆくなります

今日は、私の本業の「刑法」についてお話します。

いつも、このオフィシャルサイトで
子供の教育論などを話している私ですが、
私の本業、専門は「刑法」です。

現在は、月曜、金曜、土曜、そしてときどき日曜、
週3日ないし4日は、お茶の水の明治大学法科大学院で
新司法試験を受験予定の学生らに「刑法」の
ゼミを組んで指導をしています。

これは教育者としての一面です。
一方、現在は出講日以外の火曜、
水曜、木曜、日曜は主として「違法論」に
関する論文、書籍に目を通しています。

先週から今週にかけては、
「可罰的違法性」に関する100以上の
論文・書籍に目を通し、1600位の判例、
裁判例について分析整理しました。

その過程で一番困ったのは、古書を読む作業です。

水道橋の丸沼書店で1982年刊行の
前田雅英著「可罰的違法性論の研究」(東京大学出版会)
を購入し、以前から書棚にあった1975年刊行の
藤木英雄著「可罰的違法性」(学陽書房)などを
斜め読みしましたが、前田教授の著書は書店の倉庫に
長い間保管されていたらしく、読み始めたら体中が
かゆくなり始めたのです。

虫でもいたのでしょうか!?

とりあえず、一度日干しにして、また読み進めていますが
学問の研究というのは、社会的意義があると同時に、
耐久レースという側面があります。

机に座り、1日じっと論文、書籍に目を通しているのですから、
これは好きでないと続きませんね。

今週の後半からは、「消極的構成要件要素の理論」
「超法規的違法性阻却」に関するこれまた50ぐらいの論文に目を通す予定です。
そう言いましても、一般の方には何のことだか分かりませんよね。スミマセン。

いずれにしましても、
受験に関する一般書を書く横顔とは別に、
私には本業とである刑法の研究者としての
横顔があるということを
お伝えしたかったのです。

いわば、一般書を書く私は、「巨人の星」で言えば佐門豊作です。
現状は、花形満のように身軽ではないので、
大リーグボール1号を打ち返す
秘密特訓に集中することはできないですからね。



2012.6.3

「爆笑!大日本アカン警察」第二弾放送!



 フジテレビの番組ホームページによると、
「フジテレビ佐野アナウンサーは、
後輩伊藤アナウンサーに嫉妬しているんじゃないのか?
完全決着編」
が、ようやく今夜6月3日に放映されるようです。

この第2弾は、5月15日の
博士のお仕事日記」にも記しましたが、
4月26日にフジテレビで収録されたものです。

当日は約1時間収録に立ち会いましたが、
6月3日の放映時は5秒間くらいしか
顔を出さないかもしれません。
いや、出演は3秒くらいかもしれません。

残念!! でもテレビとはそのようなものです。
皆さん、お暇がありましたらご覧下さい。

ただ、この日は他局でサッカーワールドカップ
最終予選、日本VSオマーンが放映されるようで、
視聴率はアカン! かもしれません。

2012.6.2

勉強しろと言わずに子供を勉強させる法が
中央大学の入試に出題されたそうです


先日、一般社団法人日本著作権教育研究会というところから
A4大の茶色の封書が届きました。
中を開けてみると、学校法人中央大学名で、
「著作権使用のご報告」と題し、
2012年度の入学試験において、小林公夫著
「「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法」を
使用した旨報告しますと、記されていました。

どうやら、2012年度外国人留学生入学試験で
使用されたようです。

一応、私も問題にチャレンジ。
カンタンな穴埋め問題でしたので
勿論全問正解でしたが、2004年に出版した
「論理思考の鍛え方」(講談社現代新書)が
入試で出題された時は驚きました。

本書は、2005年の春に獨協大学の国語の入試問題、
その後、嘉悦大学の国語の入試問題として
出題されましたが、著者である私が取り組んでも
歯が立たない設問があったからです。

「著者は何故このように考えるのか」と
記されていたので選択肢を見ると、
選択肢に私の真意に合致する答えがないのです。
勿論近い答えはありますが、

この「著者」って私のことですよね?


もうかれこれ40年ぐらい前のことですが、
ある小説家が、自分の小説が入試に出題されたから、
面白半分に解いてみたら、模範答案と全く違っていたと
話されていたのを思い出します。

文章とは難しいものですね。



2012.5.15
『爆笑 大日本アカン警察』収録PART2!!

前回のターゲブーフでお伝えしたように、
4月22日(日)、雨の中巨人-ヤクルト戦が強行されたため、

爆笑 大日本アカン警察

のオンエアーは延期とされてしまいました。

しかし、フジテレビの番組ホームページによると、
5月20日(日)は、いよいよオンエアーされるみたいです。

実は、あれからフジテレビから再度連絡があり、



「フジテレビ佐野アナウンサーは、後輩伊藤アナウンサーに
嫉妬しているんじゃないのか? 事件」


第2弾の収録を行いたい、とのことで、
4月26日、再びお台場に出かけました。

フジテレビのADによると、第1弾が面白かったようですね。



↓これが1日通行証!!
画像の説明

第2弾の内容は秘密ですが、第1弾と比べると、
やや出演時間が長いかもしれません。
放映日が決まりましたら、また、このページで
お知らせします。
皆さん、是非観てください。


2012.4.10
『爆笑 大日本アカン警察』の収録に行ってきました!!


先週の4月3日火曜日、猛烈な低気圧が東京を襲った日、
私はお台場のフジテレビで、夕方から収録でした。

番組名は…

爆笑 大日本アカン警察



そう、ご存知日曜ゴールデンタイムの
人気番組です!

大荒れの中、3時過ぎに
フジテレビに到着。

2階のタレント・クロークで名前を言うと、
何と、私のプライベートの控え室が
きちんと用意されていて
びっくりしました。
(大部屋じゃないの!?)

それも・・・

廊下のいちばん奥の部屋。

向かいには…




松本人志さん~~~~!!!


私は携帯電話を持っていないので
楽屋の写真を撮れなかったけれど



“小林公夫先生”



とネームプレートが
扉に貼られていました。



この日の収録の内容は、
フジテレビの若きエース

伊藤利尋アナと佐野瑞樹アナの
時事問題対決のレフェリング。

インパルスの板倉俊之さん、
KAT-TUNの田中聖さんと一緒に、

2人に突っ込みを入れました。

私は、時事用語の正確な解説を
お2人がしているかどうかの
チェックを担当。

それにしても、伊藤アナも佐野アナも
お2人とも大変優秀でした。



放映は、早ければ4月22日(日)!
(雨でプロ野球が中止になった場合)

4月22日(日)が晴れた場合は、
5月20日(日)だそうです。


皆さん、是非観てくださいね。



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